保安管理技術

【二種販向け】LPガス販売事業者のLPガス貯蔵施設

LPガスボンベを家屋の裏側に設置して、直接供給する場合もありますが、所定の場所にLPガスボンベを一括で置いて、複数のご家庭に地下の配管を通じてガスを供給する場合もあります。
この一括で置いておく場所をボンベハウスと呼びます。
本記事ではボンベハウスのルールや販売所に貯蔵しているボンベについての基準をご紹介します。

記事のもくじ

丸覚えキーワード

  • 販売事業者
  • 販売所に用意しておかないといけないもの
  • 貯蔵施設
  • 警戒票
  • 貯蔵施設の構造と安全対策
  • 安全対策

キーワードの解説

ボンベハウスや販売所には複数のLPガスボンベが置かれています。

取扱い方法を知っている職員は大丈夫ですが、一般的な消費者であれば、何も知らない方がほとんどです。

そのため、誤って入らないような措置を取る必要がありますし、気を付けてもらうための警戒票(看板みたいなもの)などを用意する必要があります。

 

詳しく見ていきましょう。

 

販売事業者

〇〇産業や〇〇ガスなどのLPガス販売事業者および個人事業者は一般消費者等に対してLPガスを販売しようとする人は、液化石油ガス法に基づき、販売事業について行政庁の登録を受け、販売所を設けて3㎡以上の貯蔵施設を所有または占有しなければなりません。

販売事業者は登録制度となっており、役所に登録申請書を提出しなければなりませんが、提出先は事業規模によって異なります。

 

販売事業者登録申請書の提出先・登録先

申請者の区分 申請書の提出先 登録先
①一の都道府県の区域内にのみ販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者 当該販売所の所在地を管轄する都道府県知事 都道府県知事
②一の経済産業局の管轄区域内であって、二以上の都道府県の区域内に販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者 当該販売所の所在地を管轄する産業保安監督部長 経済産業局長および産業保安監督部長
③二以上の経済産業局の管轄区域内に販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者 経済産業大臣 経済産業大臣

 

①はシンプルで分かりやすいのですが、経済産業局というあまり聞いたことがない組織の名前が出てくるので、分かりにくくなりますよね。

経済産業局は、全国を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄といった9つの地域に分けて管轄しています。

区域についても9つの地域に分かれており、申請範囲についてもこの区分で分けられます。

北陸はないんですよ。何故かは知りません。

 

②と③の枠組みが少しややこしいので、例を出しておきましょう。

 

今北産業は大阪で創業されたLPガス販売者。これから頑張るぞ、ということで大阪府知事に申請書を提出。

(①一の都道府県の区域内にのみ販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者)

 

営業を頑張ってお客さんが増えてきて、和歌山へ進出。

大阪から向かうのは大変なので、和歌山の串本販売所を作る事になりました。

都道府県は異なるものの、同一の経済産業局の管轄区域なので、近畿産業局へ申請書を提出。

(②一の経済産業局の管轄区域内であって、二以上の都道府県の区域内に販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者)
※近畿産業局(大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山、兵庫、福井)

 

和歌山のお客さんはミシン用品を製造している会社でした。

コロナ対策で家庭でマスクを作ることが増えて業務拡大、三重県にある工場も今北産業にまかせたいと言われて快諾。

けっこうな使用量が見込めるため、四日市販売所を新設。

 

三重県は中部経済産業局の管轄なので、経済産業局の管轄区域が2になりました。

申請書を経済産業大臣へ提出。
(③二以上の経済産業局の管轄区域内に販売所を設置してLPガス販売事業を行おうとする者)

 

登録した後に販売所を閉鎖したりした場合は、遅滞なく経済産業大臣、経済産業局長および産業保安監督部長または都道府県知事に届出なければなりません。

今北産業の場合は、四日市販売所を閉鎖したら経済産業大臣へ、
四日市販売所はそのままで串本販売所を閉鎖したら経済産業局長および産業保安監督部長へ、
倒産したら全ての官庁へ届出を出す形になります。

 

3トン以上のLPガスの貯蔵施設について

LPガス50kgボンベで60本以上を置くボンベハウスや1トンバルク×3などの貯蔵施設を新しく作ったり変更する場合は、貯蔵施設の所在地を管轄する消防長または消防署長の意見書を添えて都道府県知事へ申請した上で、都道府県知事の許可が必要になります。

また、せっかく作っても完成検査を受けて合格しないと使えません。

そのためか、ボンベハウスは58本とかの施設が多かったりします。

めんどくさいんでしょうね。

 

試験問題については法令の区分ではありますが、もし総務や法務に所属したら手続きをする可能性もあるので覚えておきましょう。

 

販売所に用意しておかないといけないもの

保安業務を行う場合は、

  1. 消費者宅の供給管および配管の気密試験に使用する器具または設備
  2. LPガス漏えいを検知するための器具または設備
  3. CO測定器
  4. 緊急工具箱
  5. その他

そりゃそうだって感じですよね。

 

具体的には、

  • 8.4kPa以上の圧力を発生できるポンプ
  • 機械式自記圧力計または電気式ダイヤフラム自記圧力計などの圧力を測定できる器具
  • 専用継手管またはゴム管および継手金具類ならびに弁
  • 漏えい検知液または石けん水
  • ガス検知器やマノメーターなどの圧力計

が必要とされています。

次からは貯蔵施設についてみていきましょう。

 

貯蔵施設

LPガスの貯蔵施設には安全を守るために守らないといけないルールがあります。

一般的なLPガスの貯蔵施設は下記のようなイメージです。

LPガスの貯蔵施設

LPガス業界ではボンベハウスと呼んでいるのですが、ボンベハウスにはLPガスが置かれているため、「周囲の安全を守るためにこのくらい距離を取ってね」ということが決められています。

これを施設距離と言います。

 

施設距離

保安物件には学校や病院などの第一種保安物件と一般の住宅である第二種保安物件があり、ボンベハウスの外側から一定の距離が離すように決まっています。

貯蔵施設の面積が8㎡から順次広がり、25㎡以上は一定となります。

 

25㎡以上の貯蔵施設の場合は、
第一種保安物件との距離は22.5m以上。
第二種保安物件との距離は15m以上。

 

地方であれば問題ないかもしれませんが、都心部だとそんな土地がどこにある?となるので、貯蔵施設を覆うように障壁を設けることで基準を約半分まで下げることができます。

 

警戒標

LPガス貯蔵施設の警戒票

警戒票に記載するのは、1.LPガス貯蔵施設、2.「燃」、3.火気厳禁(赤文字)の事項を掲げる。

また、保安物件・火気・引火性発火性のものからの距離が十分な距離が確保できない場合は、高さ1.8m以上のネットフェンスで囲んだりするので、フェンスの扉から見ても見えやすい場所に掲げる必要があります。

住宅街の中にあるボンベハウスとかだと囲まれてることが多いですね。

お願いだから入らないでっ。

 

貯蔵施設の構造と安全対策

貯蔵施設は安全に配慮した素材で作られていいます。

屋根

本体は不燃性または難燃性のものであればOKなので、繊維強化セメント製はOKな素材。

もし明かりを取りたい場合は網入りガラスまたは繊維入り強化プラスチックで総面積の1/4以下にします。

明かりを取ると直射日光が入ってくる可能性があるので、あんまり見た事がありません。

 

電気設備

内部に電気設備を設置する場合は、防爆構造のものにする。

 

換気口

床面積1平方メートルにつき300平方センチメートル以上かつ2か所以上ないとダメ。

換気口の大きさは、2,400平方センチメートル以下(60×40cmくらい)にしないとダメ(大きすぎるとダメ)。

※網の面積はマイナスされるので、40×60cmでもOKです。

 

どこに溜まるか分からないから分散して抜けるようにしましょうってことですね。

 

消火器

消火器は〇-数字といった形で〇:どの火災に対応しているか、-数字との程度の消化能力があるかといった形でグレードを示してます。

 

火災の種類

A(普通火災):木材、繊維製品などが燃える火災
B(油火災):ガソリンや灯油などの石油類が燃える火災および石炭合成樹脂などが燃える火災
C(電気火災):変圧器、配電盤その他これらに類する電気設備の火災

といった3タイプがあります。

ABC消火器といった全てのタイプに対応している消火器もあります。

消火器の白・黄・青のシールでどの火災タイプに対応しているかを示してあるので、機会があれば見てみて下さい。

 

数字は消化試験によって定められた数字が入ります。

数字は大きければ大きいほど能力が高く、200号なんてものもあったりします。

 

A-4やB-10以上というのがLPガス業界ではよく出てくる消火器の規格なのですが、ABC消火器とかだと、4号、10号と呼んだりします。

 

施設の大きさによって設置する消火器の数が変わります。

消火器には水系、ガス系、粉末系という3つの種類があり、貯蔵施設に設置するのは水系か粉末系のどちらかと定められています。

大抵は粉末系が設置されています。

 

設置基準および本数

A-4およびB-10以上の消火器を50平方メートル当たり1個として算出した個数以上または2個のうちいずれか大なる数を設置する。

 

保安設備からの距離の基準が8㎡で最大基準が25㎡だったのを覚えていますでしょうか。

消火器の基準は50㎡が基準となり、それ以下の場合は「いずれか大なる数」なので、2以上が基準になりますね。

貯蔵施設が大きい場合は設置個数が増える。

 

他の条件としては、

  • 貯蔵施設から15m以内にある見やすい位置におくこと
  • 耐用年数が10年とされているので、きちんと管理すること
  • 6カ月に1回、外観を見て傷やゆがみなどがないか、安全装置が大丈夫かなど、定められた基準に適合しているかを確認すること

といったことに注意する必要があります。

 

試験前にチェック

  • 警戒票に掲げる3つの項目は?
  • 屋根の素材はどういったものが使われる?
  • 屋根に採光面積を設けたいが何分の一ならOK?
  • 貯蔵施設に換気口を設ける場合、換気口の面積は何に比例する?
  • 換気口のサイズは?
  • 消火器の能力は?消火器の設置数の基準は?

合格の近道は「慣れ」です。

去年受かった先輩にもらったり、同僚に貸してもらうなど、どんな方法でも構いません。
必ず過去問を解いて、自分が間違えやすい部分を見つけて慣れておいて下さい。

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