保安管理技術

【二種販向け】家庭用(一般消費者など)LPガスの容器、バルブ・調整器

応用問題はほとんどありません。

LPガスの容器や調整器などによって家庭向けの供給の安全は守られています。

正誤の判断はつきますので、ポイントを絞って解説しています。

記事のもくじ

丸覚えキーワード

  • 50kg容器の素材や安全機能
  • LPガス容器の刻印
  • LPガス容器の表示
  • LPガス容器の試験
  • バック漏れとシート漏れ
  • 容器・調整器・ガスメーターの位置関係のルール
  • 調整器とガスメーターの選定ルール
  • 調整器の種類

キーワードの解説

50kg容器の素材や安全機能

「ボンベ」と聞いてイメージするのはこんな感じではないでしょうか。

特長をまとめてます。

LPガスの50kgボンベの例

炭素鋼でできた溶接容器、充填口は左ねじ、合成樹脂の保護キャップ、スプリング式の安全弁などが付いている。

安全弁はスプリング式、規定以上の圧力になった時にガスを一斉に放出して爆発しないようにするもの。

問題では継ぎ目なし容器などが出てくるが、これは酸素や窒素、圧縮ガスなどに用いられる容器なので、引っかからないように注意。

 

図にはプラスチックライナー製の一般複合容器も普及していると記載しましたが、2kgや5kgなどの容器で使われていることはあっても、50kgサイズでプラスチックライナー製は見かけたことは多くないかと。

耐圧試験(3MPa)、気密試験(1.8MPa)などは使用年数によって決まった時期にあり、合格していなければ使えません。

試験時期については後述しています。

 

LPガス容器の刻印

容器検査に合格した容器には都道府県知事もしくは高圧ガス保安協会などが容器の見えやすい部分に刻印します。

刻印しないといけないのは、家庭用の場合は全部で8個(500Lを超える場合は10個。)

  1. 検査実施者の名称の符号
  2. 容器製造者の名称またはその符号
  3. 充てんすべき高圧ガスの種類
  4. 容器の記号(3文字以下に限る)および番号(5桁以下に限る)
  5. 内容積(記号V、単位L)
  6. 付属品(取り外しのできるものに限る)を含まない容器の質量(記号W、単位kg)
  7. 容器検査に合格した年月
  8. 耐圧試験における圧力(記号TP、単位MPa)およびM
  9. 内容席が500Lを超える容器にあっては、胴部の肉厚(記号t、単位mm)
  10. 高強度鋼またはアルミニウム合金で製造された容器にあっては、材料の区分(記号 高強度鋼HY、アルミニウム合金)

また、登録容器製造業者による自主検査の場合は、1.が型式承認番号に、2.が登録容器製造業者の名称またはその符号に、7.は製造年月を刻印する。

LPガス容器への刻印の例

図にするとこんな感じ。

どこかでボンベを見かけたら確認してみて下さい。

 

ちなみにここに書いてない内容を書いてるような気はしませんか?

容器所有者(委託でなければ販売事業者)やガスの性質などを示す文字が書いてます。

 

LPガス容器の表示

LPガス容器には表示するものがあります。

LPガス容器に表示する内容の例

ポイント

1.LPガスまたは液化石油ガスという文字を赤色で胴部に、ガスの性質を示す文字として赤色で「燃」の文字を明示し、充てん期限、最高充てん圧力を胴部に表示する。

2.容器所有者の氏名または名称、住所および電話番号を容器の外面の色に対して鮮明な色で記載する。

黒色または赤色はNGなので、大抵白で書かれてますね。

〇〇産業とか〇〇ガスとかが多いですね。

 

LPガス容器の試験

ガス容器は下部が腐食しやすいので、長年使っていると腐食することもあります。

腐食すると定められた耐圧・気密性能を満たせずガス漏れに繋がるため、使用年月によって検査期間が変わります。

 

検査期間を超えたボンベへのLPガスの充てんは禁止されているので、決められた期間ごとに試験を受ける必要があります。

 

基本的には20年未満の容器の場合は5年に1回、20年以上の容器は2年に1回が試験の規定です。
※容器則第24条第1項第2号(耐圧試験圧力が3MPa以下、内容積が25L以下、昭和30年7月以降に容器検査または放射線検査に合格した容器)にて規定する容器は20年未満が6年、20年以上が2年になります。

 

「基本的」と書いたのは、平成元年3月31日以前のガス容器の場合は規定が変わるため。

30年以上経っているので、こちらは割愛します。

現役で使われている容器はほぼない…はず。

 

設置方法については別記事で紹介しているので、ここでは割愛します。

LPガス個別供給方式(家庭用)の設備

 

バック漏れとシート漏れ

容器は試験があって安全でも、充てん作業をすることで開閉することが多い容器バルブは人的ミスや損傷などの可能性もあります。

損傷すると、ガス漏れの原因になることもあります。

安全が一番なので、試験においても頻出。

 

パック漏れとシート漏れの区別をつけておきましょう。

バック漏れは容器バルブを開いた時のガス漏れシート漏れは容器バルブを閉じている時のガス漏れ

容器バルブはどこにあるの?とかは下の図を見てね

バック漏れ弁本体または弁棒とグランドナットの間から漏れる、Oリングやグランドパッキンの損傷が原因。

シート漏れ弁シートと弁座の間から漏れる。

 

工具で締めた際に弁シートが傷ついたり、素手で締めた時の力が弱かったりすることが原因。

せっけん水などを塗って漏れがないかを確認、またはガス漏れ検知器を使って確認する。

 

漏れてる時はプクプク泡がでます。

 

容器・調整器・ガスメーターの位置関係のルール

調整器はボンベより5㎝高い位置、ガスメーターは調整器より5cm高い位置、調整器とガスメーターの間に水(ドレン)抜きを付けるのがルール。

ボンベからガス機器までの道のりと設置ルール

調整器とガスメーターの選定ルール

個別供給は燃焼器の合計量の1.5倍以上の容量を有するものをつける。
※集団供給の際は、ピーク時のガス消費量を考えて選ぶ。

ガスメーターはガス燃焼器の合計量の1.0倍以上の計算能力を持つものをつける。

調整器の種類

ボンベの中には液体のプロパンなどが入っており、これが気化して混合ガスとしてボンベから供給されます。

液体で保つことができるほど高い圧力がかかっている(気化したら体積は270倍になる)ため、そのまま噴出するとすごい勢いとなります。

 

LPガスの特性

 

調整器はこの圧力をガス燃焼器に使いやすい圧力(2.0~3.3kPa)に調整して供給する機能を持っています。

戸建て、集合住宅、工業用など様々な需要に合わせて大きいものから小さいものまで種類があります。

 

大きく分けると単段式、二段式、自動切換式の3種類。

 

単段式調整器

最大閉塞圧力よりも低く設定、安全弁は低圧側に設ける。

弁の開く度合いを調節して出口圧力をほぼ一定に保つ(2.3~3.3kPa)。

簡便で安価、小型は容器に直接取り付けて、大型のものは大規模供給設備の修理の際に予備として利用する。

  • 入口調整圧力:0.07~1.56MPa(70kPa~1560kPa)
  • 出口調整圧力:2.3~3.3kPa
  • 出口標準圧力:2.8kPa

 

二段式調整器

一体型と分離型(一次・二次)がある。

高圧を中圧に減圧して単段式調整器に比べて燃焼器へ供給するガスの圧力を安定させることができるメリットがある。

再液化(2℃の変化で発生の可能性あり)対策からバルク供給ではよく使われる。

 

二段式一次調整器

高圧から中圧へ減圧して二次へ供給するため中圧調整器とも呼ばれる。

安全弁なし、調整能力が高い。圧力を受ける部分が分厚い。

バルク供給用として出口側にガス放出防止器(EFV)を組み込んだものもある。

  • 入口調整圧力:0.1~1.56MPa
  • 出口調整圧力:5.7~8.3kPa
  • 出口標準圧力:70kPa

 

二段式二次調整器

ガス燃焼器側に設置、単段式の代わりはNG。

  • 入口調整圧力:0.1or0.15~0.025MPa(100~250kPa)
  • 出口調整圧力:2.3~3.3kPa
  • 出口標準圧力:2.8kPa

 

一体型はボンベがバルク(大きいタンクみたいなもの)に使われることが多いですが、家庭用についてのイメージ図は下記のようなイメージ図になります。

 

管を通る距離が長ければ長いほど、上層に持ち上げるほど、圧力が落ちていきます(圧力損失)

低圧に減圧してしまうと、上層階に届けることができなくなることもあるため、二段式を利用することがあります。

 

二段式一体型調整器

一次二次が一緒になったもの。

バルク供給用には中圧部にガス放出防止器が組み込まれている。

  • 入口調整圧力:0.07~1.56MPa
  • 出口調整圧力:2.55~3.3kPa
  • 出口標準圧力:2.8kPa

 

自動切換式調整器

二段式の減圧方式で一体型と分離型がある。

ボンベハウスから各供給先へ送る時に使われる。

 

分離型は一旦中圧(50~70kPa)で供給され、二次用調整器で各供給先で減圧される。

使用しているボンベと予備ボンベの切替ができ、効率的に使いきれるため、計画的に配送ができる。

調整圧力の下限値が高いので、燃焼器までの配管など許容圧力損失に余裕がない場合にも有効。

 

消費を止めずに交換できる。

表示器は予備側からもガス供給が行われていることを知らせる。

 

自動切換え分離型調整器

分離型の例。

使用側がなくなると予備側のバルブが開いて、空になったボンベを入れ替える。

 

各家庭までの距離がある場合や高層マンションなどの圧力が必要な供給方式の時などにこちらの調整器が選ばれる。

一体型は一括で減圧してから届けられる方式なので、減圧の部分が各家庭ではなく、一括でおこなわれる認識でOK。

 

自動切換式分離型調整器(一次用調整器と同じ役割)

  • 入口調整圧力:0.1~1.56MPa
  • 出口調整圧力:32~83kPa
  • 出口標準圧力:40kPa(予備側)70kPa(供給側)

 

自動切換式一体型調整器

  • 入口調整圧力:0.1or0.15~1.56MPa
  • 出口調整圧力:2.55~3.5kPa
  • 出口標準圧力:2.8kPa

 

試験前にチェック

  • ボンベの素材とねじの向きは?
  • ボンベの刻印、全部でいくつ?
  • ボンベへの表示。赤字で記載するものは何?
  • ボンベは再検査が必要ですが、何年以上使用すると基準が変わるでしょうか。
    また、検査の周期についても教えて下さい。
  • ガスを閉じた状態でガス漏れをしている。
    これはどこから漏れている可能性が高い?
  • ボンベ、調整器、メーターの位置関係のルールは?
  • 大別して3種類の調整器。それぞれの種類と特長は?
  • 各調整器の入口圧力と出口圧力は?

合格の近道は「慣れ」です。

去年受かった先輩にもらったり、同僚に貸してもらうなど、どんな方法でも構いません。
必ず過去問を解いて、自分が間違えやすい部分を見つけて慣れておいて下さい。

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