供給設備から消費設備を繋ぐガス配管は用途によって使い分けられています。種類と用途を覚えておきましょう。
記事のもくじ
丸覚えキーワード
- 配管材料の種類と用途
- ホースの種類と用途
- 継手の種類と用途
- 漏洩防止剤・ガス栓など
キーワードの解説
配管材料の種類と用途
LPガス供給は地中に埋設したり、宅内の壁の中やコンロなどに取り付けるガスホースなど用途に合わせた種類があります。
まずは種類と用途、合わせて設置場所別に覚えましょう。
ガス用ポリエチレン管は露出部NG、配管用フレキ菅を埋設部に使用する際はさや管が必要と覚えておくだけでも正答率は上がります。
圧力配管用炭素鋼管(STPG)
集団供給設備の集合装置等の高圧部に用いる。
同じ呼び径の場合、スケジュール番号が大きい方が肉厚で耐圧性能も優れる。
配管のサイズについて
呼び径は配管やボルトなどに使われるサイズの規格です。
A呼称はミリメートル、B呼称はインチで表します。
服のサイズのSMLみたいなものと考えておきましょう。
呼び径とかスケジュール番号についてはイメージがつきにくいと思うので、下図を確認してください。
管をねじ接合する場合には、スケジュール80以上のものを使用する必要があります。
スケジュール40、60、80といったサイズがあり、呼び径のサイズごとに分厚くなっていきます。
下のリストは圧力配管用炭素鋼管の寸法です。
呼び径はAを基準にしています()の数字は呼び径Bの数字
呼び径A(B) | 外径(mm) | スケジュール40 厚さ(mm) | スケジュール 60(mm) | スケジュール 80(mm) |
10(3/8) | 17.3 | 2.3 | 2.8 | 3.2 |
15(1/2) | 21.7 | 2.8 | 3.2 | 3.7 |
20(3/4) | 27.2 | 2.9 | 3.4 | 3.9 |
25(1) | 34.0 | 3.4 | 3.9 | 4.5 |
32(1 1/4) | 42.7 | 3.6 | 4.5 | 4.9 |
40(1 1/2) | 48.6 | 3.7 | 4.5 | 5.1 |
50(2) | 60.5 | 3.9 | 4.9 | 6.5 |
65(2 1/2) | 76.3 | 5.2 | 6.0 | 7.0 |
80(3) | 89.1 | 5.5 | 6.6 | 7.6 |
100(4) | 114.3 | 6.0 | 7.1 | 8.6 |
JIS G3454
配管用炭素鋼管(SGP)
中圧部と低圧部に用いる。
白菅(メッキあり)と黒菅(メッキなし)があるが、LPガス設備には白菅を用いることが原則。
白菅
さびないようにSGPに亜鉛メッキを施したもの。
そのまま使うと腐る可能性がある場所には防食テープを巻き、その上に保護テープを巻いた被覆白菅、防食性脳のある塗装を施した塗装白菅というものもある。
プラスチック被覆鋼管
腐食は全て電気的な作用から起きるので、埋設する鋼管を電気的に絶縁すれば腐らない。
絶縁するなら鋼管をプラスチックで覆えばいいじゃないということで、塩化ビニルやポリエチレン、ナイロンで覆った鋼管。
塩化ビニル被覆鋼管
露出部・埋設部および壁・床などの内部に使用できる。
ガス用ポリエチレン管
腐食性がなく、可とう性があるため、埋設部(30cm以上の深さ)に用いられる。
直射日光、有機溶剤、衝撃、熱(融点126℃)に弱いので露出部には使用不可。
見た目はプラスチックの筒。
配管用フレキ管
低圧部の供給管として用いられる。可とう性のある配管材料で、埋設部に使用する場合はさや管が必要。
覆っている保護膜のせいでフレキシブル(柔軟な)というほど柔軟でもない気はする。
ホースの種類と用途
ホースには高圧用と低圧用がある。
高圧ホースは充填容器と単段式調整器の接続、容器と自動切換式調整器や集合装置と接続するために用いて、低圧ホースはガス栓と燃焼器の接続に用いる。
高圧ホース
内面の耐LPガス製の合成ゴム層、補強層および外面の対候性ゴム層の3層からなっていて丈夫。
ガス放出防止機構を内蔵したものが主流となっている。
交換期限は製造年月日から10年(1類)と7年(2類)と定められている。
ガス放出防止機構
低圧ホース
LPガス透過性、耐寒性、耐候性、0.8MPa以上の耐圧性脳、1kN以上の引張強度が必要。
こちらの交換期限も製造年月日から10年(1類)と7年(2類)と定められている。
金属フレキシブルホース
末端ガス栓と湯沸かし器、ふろがまなどの固定式燃焼器に用いられる。
他に使えるのは燃焼用ホース。
低圧ゴム管
末端ガス栓と移動式燃焼器(ファンヒーターなど)を接続する場合のみに使う
継手の種類と用途
継手とはガス栓と配管、配管と配管を繋ぐための器具。
鋼管用継手(ねじ込み継手、フランジ継手、溶接継手、メカニカル継手・伸縮継手)や配管用フレキ菅継手、ガス用ポリエチレン管継手(融着接合用継手、機械的接合継手)などがある。
ねじ込み継手
高圧部には炭素鋼鍛鋼品と同等以上のもの、中・低圧部は露出部、埋設部などの設置場所によって利用する継手を変える。
埋設部の管系統に可とう性を持たせるために組み合わせて使用する。
継手部のシール剤は不乾性のものを使用する。
電気的絶縁継手
埋設管の立ち上がり部と鉄筋コンクリート建物の引き込み部との間の地上配管部分に用いられる。
埋設部のマクロセル腐食(巨視的な電池の形成)を防ぐため。
フランジ継手
集合装置の集合管と調整器およびバルブなどの接続に用いる。
溶接継手
菅の溶接接合に用いる。
メカニカル継手
ねじ込み継手とは異なり、ねじを使わないでパッキン、座金、ナットなどで菅を接合する。
本体が包まれているため、荷重などが加わり菅がズレてもガス漏れが発生しにくい特徴がある。
伸縮継手
地盤沈下の影響が予想される建物への引き込み管の立ち上がり部で用いる。30cmくらいの地盤沈下なら吸収できる。
配管用フレキ菅継手
配管用フレキ菅継手に配管用フレキ菅を差し込むまたは押し込みリングを押し込んで使う。
ガス用ポリエチレン管継手
融着接合用継手とエレクトロフキュージョン継手がある。前者はヒーターで溶かしてくっつける、後者は継手に電熱線が入っており、くっつける。
ゴム管口接続形迅速継手
移動式燃焼器と末端ガス栓の接続に使用する
漏洩防止剤・ガス栓など
漏洩防止に使うものは、LPガスの影響を受けないものを使用しなければならない。
連動する部分に挿入して使用するものをパッキン、静止部分に挿入して使用するものをガスケットと呼ぶ。
ゴムだと天然ゴムはNG、ニトリルゴムが最もよく使用されている。
四ッ化エチレン製テープ(テフロンテープ)
配管ねじ込み接合部の漏洩防止材。
配管のおねじ部に巻きつけて使ったりする。
過流出安全機構付きガス栓(ヒューズガス栓)
接続されたゴム管などが外れたり切断された場合、規定流量以上のガス流出をされると遮断する。
試験前にチェック
- 露出部に使えない配管材料は?
- 埋設部に使用する際に制限のある配管材料は?
- ねじ込み継手に使うシール材の条件は?