保安管理技術

【二種販向け】LPガス集団供給方式の設備

集団供給方式とは、2戸以上69戸以下の団地またはアパート、マンションなどの共同住宅に1または複数の貯蔵設備(ボンベハウス)から供給管によって供給する方式のことです。

70戸以上になると簡易ガス方式という供給方式になるため、対応する法律が変わるため、本章では触れません。

ポイントとなるのは、ガス切れを起こさないために適切なボンベを設置すること、配管が腐食しないように対策を講じることの2点です。

記事のもくじ

丸覚えキーワード

  • 供給規模による供給設備の違い
  • 集団供給の設置本数
  • 供給管の安全措置

キーワードの解説

対になる方式は、個別供給方式と呼びそれぞれの家庭ごとにボンベを設置してLPガスを供給する方式です。

集団供給方式はボンベハウスと呼ばれるボンベ置き場にボンベを複数本設置して、供給管などからそれぞれの世帯にガスを供給する方式であるため、見た目上は都市ガス物件と変わりません。

都市ガス物件と異なるのは、ガス料金とガス機器くらいでしょうか。

 

供給規模による供給設備の違い

供給する規模や環境が異なれば供給設備も違うものを使わなければ適切に供給することができません。

 

規模で分けるならば小規模集団供給(2~10戸)、中規模集団供給(11戸~69戸)で区分され、環境で分けるならば、中・高層共同住宅の集団供給(高層マンションなど)といった供給先の特性によって供給設備が変わります。

一般的に小規模集団供給というのはアパートやハイツなど、中規模集団供給は高層マンションや戸建て住宅の一部地域といったところでしょう。

 

それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

小規模集団供給(2~10戸)

自然気化方式の低圧供給方式が一般的、調整器は自動切換え式調整器を用いる。

自然気化方式というのは、外気温とボンベ内に入っている液化ガスの温度差でガスを発生させる方式のこと。

対になるのは、強制気化方式といいます。

 

自動切替式調整器というのは、ボンベを設置する際に使用側と予備側を用意して、使用側のガスが切れたら自動で予備側のボンベを使用するように切り替えてくれる調整器のことです。

圧力を調整する調整器と一体になった一体型と分離型のタイプがあります。

 

予備側のボンベを使用している間に、空になった使用側のボンベを交換して(予備側)にする。

使用側と予備側と便宜上書いていますが、現在どちらを使っているかを呼ぶためのものだけで、特に区分けはありません。

使用側と予備側が交互に入れ替わって供給を続けます。

 

中規模集団供給(11~69戸)

使用側および予備側に同本数を設置した自然気化式および蒸発器を設置した強制気化方式のものがあります。

小規模集団と異なるのは強制気化方式のものがあるという点で、こちらも低圧供給が基本です。

 

ガス機器は2.0~3.3kPaという範囲の圧力で供給されたら使えるように設計されています。

低圧供給というのは、ボンベハウスから供給管を通る際に低圧に調整してから供給するというものです。

一般消費者への供給方式としては他に中圧供給方式があります(後述)。

 

低圧供給方式

自然気化方式は、ガス発生能力が外気温の影響を受ける(外気温が高い方がガス発生能力は高い、低いと低くなる)ため、冷え込んだ冬場などに一斉にガス機器を使った際に必要なガスの供給能力を満たせない可能性があります。

ガス切れを避けるために強制気化方式や蒸発器を設置した方式もあると覚えておきましょう。

 

中・高層共同住宅の集団供給

小規模集団、中規模集団と異なるのは、中圧供給方式で供給しているという点です。

 

中圧供給方式

LPガスは空気よりも重たいです。
(プロパンやブタンは空気に比べて1.5~2倍くらい重たい)

 

重たいものを上に持ち上げるためには力がいりますよね。

配管を通じて上層階へ供給するために必要な力は、プロパン80%、ブタン20%のLPガスの場合、高さ1mあたり7.8Pa必要になります。

 

一方でガス燃焼器がきちんと使えるような圧力にするために2.0kPaを維持する必要があります。

2.0kPaのことを最低入口圧力と呼ぶのですが、もし小規模集団や中規模集団のように低圧(2.0~3.3kPa)で供給した場合、上層階には2.0kPaを下回る可能性もあります。

 

最低入口圧力を下回ることを避けるために、ボンベハウスからは中圧で供給して、各戸ごとに二段式二次用調整器を設置することで供給する方式(中圧供給方式)が採用されている。

どの供給方式においてもガス切れを起こさないために、ボンベハウスに設置する本数は最大ガス使用量を元に算出される。

 

集団供給の設置本数

ガス切れを起こさないためには十分な供給能力を持つ必要があります。

一年で一番たくさんのガスを消費する月に対応できるようであれば問題ありませんよね。

あらかじめ想定した残液量の時のガス発生能力が消費者の最大ガス消費量に対応するようにして算出します。

 

50kg型容器を用いた自然気化方式の場合

ファンヒーターなどの暖房、コンロ、給湯器など生活の中には様々なガス機器があります。

全てのガス機器を使っているような時間帯は一日の上で数時間ですし、家庭が違えばその時間帯も変わることでしょう。

 

ガス会社にすれば、ひとつの集団として供給していますが、どの家庭においてもガス切れを起こすなどありえません。

全ての家庭が一斉に使ったとしても賄えるような本数を置くための計算方法が下記になります。

 

容器設置本数(片側)=最大ガス消費量(集団)×平均ガス消費率(0.7)×安全率(1.1)÷{標準ガス発生能力×14(kW×h/kg)}

※集中監視システムを使用する場合は安全率は1.0で良い
※最大ガス消費量は年間を通して最も消費が多い月の一戸当たりの使用量
※一日の平均ガス使用量[kW/戸]×消費者戸数×最大ガス消費率
※片側なのでボンベハウスに設置する本数は2倍した数となる

 

最大ガス消費量は、
一日あたりの平均ガス消費量×集団戸数×最大ガス消費率で算出します。

 

貯蔵能力500kg以上の設備(50kgボンベ10本以上)では、最も近い部分の供給管の立ち上がり部の下端にドレン抜きを設ける。

貯蔵能力は1,000kg未満、1,000kg以上3,000kg未満、3,000kg以上でそれぞれ縛りが変わります。

3,000kg以上の施設は都道府県知事の許可を受けて、かつ施設が検査に合格しないと使えないため、あまり見かけません。

 

供給管の安全措置

埋設部の供給管が壊れないように配慮する必要があり、地盤沈下などによる物理的な破損や腐食などによる破損からの漏えいに配慮する必要があります。

地盤沈下などに強いのはガス用ポリエチレン管。

埋設管には鋼管などを用いるため、他の物質に比べて電気が通りやすい。

腐食には大別して自然腐食と電食の2種類があり、自然腐食にはマクロセル腐食(巨視的腐食電池)とミクロセル腐食(微視的腐食電池)があります。

 

腐食防止措置

腐食防止措置としては全部で6つのポイントがあります。

  • 埋設すると電池腐食が起きる可能性があるので、できる限り露出菅にする
  • 湿気などの影響を受けないように塗装や防食テープを巻く
  • 湿気のある場所などは被覆鋼管や配管用フレキ菅を使用する
  • 被覆鋼管を埋設する場合は電気的絶縁継手を用いて建物と埋設管を電気的に絶縁する
  • 流電陽極法を使用して電気的に防食する
  • 外部電源法を使用して電気的に防食する

流電陽極法と外部電源法については下記です。

 

流電陽極法(陽極-陽極、土壌)

発生電流が小さいため、小口径で短い埋設管の防食に使用する方法。

マグネシウム陽極で埋設した供給管に電気を流して鋼と鋼よりも卑なる金属を接続して卑を腐食させる。

 

外部電源法(陽極-陰極)

発生電流が大きいため、大口径で長い埋設管の防食ができる方法。

土壌に+極、-極を埋設管につけて防食電流を電極から土壌を介して埋設管へ流入させて防食する。

 

試験前にチェック

  • 集団供給の定義は?
  • 高層マンションに供給する場合の供給方式は?
  • 設置本数の計算方式は?
  • 安全率が変わる条件は?
  • 埋設管の防食方法には何がある?
  • 防食方法の特徴は?どっちが広い面積に使える?

合格の近道は「慣れ」です。

去年受かった先輩にもらったり、同僚に貸してもらうなど、どんな方法でも構いません。
必ず過去問を解いて、自分が間違えやすい部分を見つけて慣れておいて下さい。

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