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【二種販向け】物理・化学の基礎

二種販売の試験では計算問題や状態方程式などの正誤を問う設問が出てきます。
理系にとっては基礎的なことでも、文系には厳しいですよね・・・

こちらについては丸覚えするしか方法ありませんが、できるだけ関連付けて覚える方が頭に残りやすいです。
単位と分かれているのですが、一緒に覚えておいた方が何かと捗るので1記事にまとめています。

記事のもくじ

丸覚えキーワード

  1. メタン、エタン、プロパン、ブタンの化学式
  2. 原子と分子、単体と化合物の違い
  3. 原子量、分子量
  4. ボイル・シャルルの法則、アボガドロの法則

キーワードの解説

物理、化学の基礎は全部で4つのキーワードを理解していれば解けます。

それぞれ見ていきましょう。

 

1.メタン、エタン、プロパン、ブタンの化学式

メタンCH4 エタンC2H6 プロパンC3H8 ブタンC4H10

プロパンとブタンを比較する問題が多いため、プロパンとブタンの違いをしっかり覚えておくことが重要です。

沸点、分子量、ガス比重などが比較対象になることが多いです。

化学式を覚えておくと、燃焼(酸素とくっつく状態)した際にどのくらい空気が必要か?

完全に燃焼する際の方程式を論理的に解けるようになります。

 

2.原子と分子、単体と化合物の違い

原子は物質を構成する単位となる粒子=元素を指します。

分子は固有の性質を示すもの(C(炭素)、O(酸素)など)で、酸素分子(O2)、二酸化炭素分子(CO2)などです。

単体は1種の原子で物質になったもの(O2(酸素)など)でプロパン(C3H8)のように異なる元素がくっついでできているものを化合物と呼びます。

 

3.原子量と分子量

原子量は「水兵リーベ・・・」といった順番ごとに量が増えていきます。

 

水素(H)が1、炭素(C)が12、窒素(N)が14、酸素(O)が16。

 

 

分子量は分子を構成する原子がくっついた合計(総和)なので、

プロパン分子(C3H8)の分子量は、炭素(C)の原子量(12×3)に水素(H)の原子量(1×8)を加えた36+8=44となります。

 

化学式を覚えるのが面倒な場合は、空気が29、二酸化炭素(CO2)とプロパン(C3H8)が44、ブタン(C4H10)が58と覚えておけばOK。

 

分子量を何に使うの?と思うかもしれませんが、ガス比重(空気との比率。空気より分子量が多いと重たいのでプロパンは沈む。

対して、一酸化炭素COなどの場合は空気より軽いので浮かぶ。プロパンは44÷29=1.51、ブタンは58÷29=2。)であったり、グラムを付けると1molになったり(1molあたりの質量=分子量g)するので、覚えておかないと解けない問題が多いです。

 

ガス比重と似たような名前のものに、

液比重という言葉がありますが、こちらは水との比較でプロパンの液比重は15℃でおよそ0.5となっています。

molについては単位のページでも説明していますので、ここでは1molは分子量g(グラム)なんだなーと思っておきましょう。

 

4.ボイル・シャルルの法則、アボガドロの法則

体積・温度・圧力に関わる法則です。

中学校くらいに勉強したかもしれませんが、私も忘れていました。

まずはボイル・シャルルの法則から説明します。

 

ボイル・シャルルの法則

ポイント

一定質量の理想気体の体積
ボイル:一定温度の下では絶対圧力に反比例する
シャルル:一定圧力の下では絶対温度に比例する

温度が変わらない状態だと、圧力をかければかけるほど小さくなり、圧力が変わらない状態だと温度が低くなればなるほど小さくなる。

ぎゅーってされる、寒くて縮むといったイメージであれば持ちやすいのではないでしょうか。

 

◆余談◆

圧力と温度には大きな関係があります。

「水は100℃で沸騰する」というのは一般的ですが、富士山頂だと87℃で沸騰したり、圧力なべで圧力をかけることで短時間で調理することができたりと私たちの生活に役に立っています。

私たちの住んでいる地域の大気圧は約1,000hPa、10m上がるごとに大気圧は1hPaずつ下がります。
富士山頂の気圧は約630hPa、気圧が下がったことで沸点も下がります。

ちなみに高度19,000mくらいになると血液が沸騰して死んでしまいます。
宇宙服で気圧を遮断して血液が沸騰するなんて想像もつきませんが。

◆閑話終了◆

 

問題としては、

体積・圧力・温度の関係を元に理想気体の体積などを計算する問題が出てきます。

圧力や温度は計算する条件として必ず言及があるので概念だけ把握しておきましょう。

 

状態方程式

ポイント

pV=nRT

p…絶対圧力 V…体積 n…質量(モル数)
R…気体定数 T…絶対温度(K)

体積とか質量とかは聞いたことがあるけど、絶対圧力とか絶対温度ってなんだろと思いますよね?

 

絶対圧力とは、圧力がゼロ(真空状態)へ大気圧がかかった状態で、絶対温度とは絶対零度(-273.15℃)をゼロとして数える温度で単位はK(ケルビン)です。
※一般的なのは摂氏温度。体温を絶対温度で考えると309Kになるんですね。かっこいい。

 

絶対圧力についても留意が必要ですが、絶対温度を摂氏温度と勘違いして計算すると確実に間違います。
※きちんと選択肢に摂氏温度で計算しているものが入ってることが多いです。

 

また、変に省略すると間違いの元なので、順番に計算すること。

の2点が大切です。

 

プロパンが気体になる温度(沸点)は標準大気圧(0.1013MPa)の状態で-42℃。

プロパンボンベに入っているのは液体のプロパンなので、-42℃以下の液体が入っているのか?となりますが、ボンベに圧力をかけることで詰め込んでいるんですね。

 

ボンベを触るとまだ液体になっている下の部分はひんやりしてますよ。

夏場にボンベハウスなんて超おすすめ。

 

アボガドロの法則

ポイント

すべての気体の1molの体積は標準状態(0℃、0.1013MPa)で22.4Lとなる。

という法則です。

 

では、〇〇って気体の1molとはなんぞや?となりますが、

 

1mol=分子量(g)となります。

そのため、水素なら1gが1mol、酸素なら32g、プロパンなら44g、ブタンなら58gがそれぞれ1molの単位となります。

 

ポイント

1molの体積=22.4L=知りたい気体の分子量g

 

燃焼方程式の時によく使われます。1molのプロパンを完全燃焼するためにはどのくらいの空気が必要か?みたいな問題。

空気の中の酸素の含有量は21%なので、必要な酸素の量を出して21%で割れば必要な空気の量が計算できます。

 

 

応用問題

  • 5kgのボンベのプロパンが気体になると何Lの体積になるか
  • プロパン(液体)が気体になると体積は約何倍になるか
  • 5kgのプロパンを完全に燃焼させるためには何Lの空気が必要か
    ※0℃かつ0.1013MPaの標準大気圧とする
  • 0℃、標準大気圧(0.1013MPa)で10㎥のプロパンがあり、
    27℃で0.4MPaのゲージ圧力の元ではこのプロパンは何㎥の体積となるか。

・5kgのボンベのプロパンが気体になると何Lの体積になるか

これは分子量の知識とアボガドロの法則を使って順番に解ける問題です。

分子量にグラムをつけると1molになるため、プロパンの体積は44gで1mol=22.4Lの体積となります。

5kgボンベのプロパン(0℃)が気体になる計算は、molに変換5000g÷44g(1mol)=113.6molした後に、体積を求めればいいため、113.6mol×22.4L=約2,545Lと計算できます。

答え:約2,545L

 

・プロパン(液体)が気体になると体積は約何倍になるか

5kgのプロパンボンベに何リットルのプロパン液が入っているのかを知っていれば、5kgのプロパンの体積から割れば計算できます。

条件が0℃かつ標準大気圧なので、液体プロパンの液比重は

5kgの液体プロパンの体積は9.4L(液比重が15℃で約0.5のため)なので、液体のプロパンが気体になると2545L÷9.4L=約270倍となります。

答え:液体が気体になると270倍の体積になる。

 

・5kgのプロパンを完全に燃焼させるためには何Lの空気が必要か

何かを燃やす時は、化学式で完全燃焼を表すと順番に計算しやすいので簡単です。

 

燃やす分子に酸素がくっついて二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に分解されます。

必要な酸素量を計算して、空気の中に入っている酸素の含有量(21%)で割ることで必要な空気量を計算します。

プロパンC3H8が燃焼される場合は、必要な酸素の量がmol必要かを計算して、21%で割れば必要な空気のmol数が計算できます。

 

プロパンC3H8をCO2とH2Oに分解するのであれば、炭素原子(C)3つに対して酸素原子(O)が6つあれば3CO2となり分解、水素原子(H)8つに対して酸素原子(O)が4つあれば4H2Oとなり分解されますね。

燃焼のために必要だった酸素原子は合計で10、酸素はO2で1molなので、5molの酸素が必要ということになります。

 

空気は酸素を21%含有しており、5mol分の酸素だと5mol÷21%=23.8molの空気が必要で、1mol=22.4Lのため、23.8mol×22.4L=533.3Lの空気が必要となる。

 

答え:533.3L

 

・0℃、標準大気圧(0.1013MPa)で10㎥のプロパンがあり、27℃で0.4MPaのゲージ圧力の元ではこのプロパンは何㎥の体積となるか。

まずは、0℃で10㎥のプロパンが27℃になった時にどのくらい大きくなるかを計算します。(シャルルの法則)

10㎥×(27℃+273)÷273=10.989㎥

(27℃+273)÷273の部分は絶対温度での計算、上昇した温度に比例するので、10.989㎥の大きさになったことが分かります。

次に絶対圧力(ゲージ圧力+大気圧)に反比例するので、10.989㎥÷(0.4MPa+0.1013MPa)=2.192㎥の体積となります。

答え:2,,192㎥

 

試験前にチェック

  • メタン、エタン、プロパン、ブタンの化学式は?
  • 単体って何?
  • 水素、窒素、炭素、酸素の分子量は?
  • プロパンのガス比重は?
  • ボイルとシャルルの違い、アボガドロの法則って何?
  • プロパンが気体になると液体の何倍になる?
  • 完全燃焼する場合は化合物がどうなる?
  • 空気の中の酸素の比率は?

上の問いが説明できれば、物理・化学の基礎の範囲での問題は大体解けるかと思います。

 

合格の近道は「慣れ」です。

去年受かった先輩にもらったり、同僚に貸してもらうなど、どんな方法でも構いません。
必ず過去問を解いて、自分が間違えやすい部分を見つけて慣れておいて下さい。

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