中小企業や小規模店舗の販促は自社で実施できるようになるのがベストです。
自社で制作することのメリットはこういったものがあります。
- 営業が思いついてから出来上がるまでのサイクルが早い。
- 外部へ発注しないので稟議などが必要ない。
- デザインのパターンが何種類も作れる。
- フィードバックを反映してより効果の高い広告が作れる。
- 効果のフィードバックを制作側に渡してモチベーションが上がり好循環が生まれる。
もちろん、この条件はデザインができることが前提で、デザインの元になるターゲット設定やストーリーの作成ができない場合は、質の面でも時間の面でも外部に発注した方が安くつきます。
本業がデザイン制作などではないのであれば、定期的にミーティングができるようなパートナーを見つけたり、制作側の経験者を自社で雇ってノウハウを会社に吸収していくのがいいと思います。
打てる手が多い方がいいでしょうし、様々な広告手法について知っておきましょう。
私は中小企業や小規模店舗は地域密着のビジネスであることが多いため、華やかな広告については必要がないと思っています。
ただ、広告代理店が「これいいですよ!」と言ってきた時に何を言っているのかが分かった方がいいと思ったので結構な種類があります。
「自社で行う場合」と書いてある広告手法については有用だと思っているので、「自社で行う場合」があるかないかで見分けてみてください。
記事のもくじ
TVCM
Youtubeや他のメディアに押されつつも未だにキンングオブメディア。
40代以上の年齢層やインターネットをそれほど使わない層に対しては圧倒的に影響が大きい広告手法のひとつ。
知名度を上げる効果が高い分、予算も数千万~じゃないとまともな効果は得られない。
CMを出す時間帯によって値段が違うものの中小企業だとあんまり縁がないかと。
新聞
こちらも40代以上の年齢層に対してですね。
発行部数と新聞紙面の枠をどのくらい使うのかによって値段が変わる。
スポーツ紙や地方紙なら2万くらいからも出せるものの新聞が何度も読み返されることがあまりないので、複数回実施することを考えると10万くらいからが現実的。
雑誌
雑誌の発行部数と掲載される場所によって価格が変わる。
雑誌の特徴に合わせることでアピールしたい対象を絞ることができるのが主な特長。
1回30万(一色1/3くらい)~300万(表四カラー、表二カラーなど)くらい。
裏側(表四)や表紙の裏(表二)など主要な場所などだと高い。
ちなみに週刊少年ジャンプの裏側だと1回350万だそうな。
シネマ広告
映画の予告の前に流れる広告ですね。
映画館の規模や来場者数と流す期間によって価格が変わる。
2ヶ月で80万~400万くらい。
地方の映画館に行くと地元企業の広告がよく流れています。
映画の印象が強いだろうから広告を覚えているお客さんがいるかどうかはすっごい微妙。
Web(純広告)
Yahooのトップとかに出てくる広告などのアクセス数が大きいサイトの広告枠に対して出稿する広告です。
こちらは月間のアクセス数が〇件なので、〇件くらい表示されますよといったもの。
表示回数×単価で広告料金が決まるインプレッション広告に近いですね。
費用はサイトの規模によってピンキリですが、20万くらいから出せるのでサイトの性格がターゲットにぴったりなら候補に入るかもしれません。
ラジオ
番組の間に流れる20秒のCM、どの番組の間に流すのかなどによって単価が変わる。
地域や放送局によって単価が違って1回15,000(某地方局)~70,000円(東京)くらいまでで幅がある。
流す回数によって割引もあるけど、1日3回×1週間でも2、30万は必要。
運転中にラジオを流しているドライバーや飲食店に来ている方に対してのアピールには使えるかもしれません。
交通広告
駅の柱に貼られているポスターや電車の窓にある小さいシールタイプや中吊り広告など。
屋外に使われることが多いのでOOHと呼ばれることもある。
JR大阪駅に全面広告を出す場合は2週間で300万~くらいですが、電車内のシール広告だと3カ月で50万~とかになるので非常にピンキリ。
主に知名度を上げるために使う広告で、これが原因で何らかのアクションを起こすことは少ないです。
インスタグラムなどで話題になった大きな羽を広げた壁のように、フォトジェニックな看板を作った場合などは宣伝効果は大きくなるかもしれません。
SNS広告と似てるね
テレビショッピング
大体3分~10分程度の制限時間で作られてます。
使用シーン、実体験やターゲットの属性(性別、年齢など)に近いモデルを採用することで、お客さんに商品を利用した時のイメージをさせやすいことがメリット。
動画を撮影するために制作会社やキャスティング会社との連携が必要になります。
広告枠を購入する必要があるため、広告代理店にお願いしてまとめてやってもらうことが多い。
制作期間は早くても3カ月くらい、コストは1,000万~。
自社で動画を撮影してYoutubeなどで流す場合の手順
見てもらえるお客さんの数は減少しますが、メリットは同様であるため、動画は良いツールです。
商品の特性や実績をピックアップ、動画の長さを決定して台本を作成、演者を社内で探して演技指導、撮影した後に動画を編集してテロップや連絡先などを掲載。
台本の内容は、その商品を購入することによってどんな悩みから解放されるのか、悩みから解放されたらどうなるのかなどをイメージさせることができるストーリーを考えて作成する。
誰が出演するかですが、安易に若い社員にやらせるのではなく売りたい対象に近い年齢層や性別を中心に選んで依頼しましょう。
動画を掲載したらメーター復帰の電話が減った
チラシ
紙のサイズによって掲載できる情報量に限界があります。
ポスティングに使うのか、営業が説明の補足に使うのかなどの用途や、周知だけ、集客だけ、といった目的によって掲載する内容やデザインを変えましょう。
デザイン会社や印刷会社などに商品の特徴やデザインの方向性を伝えて、チェック、完成したら入稿という流れです。
営業時間が決まっている場合は、ホームページまたはランディングページなどの販売・申し込み用ページなどのインターネットの窓口を作っていつでも受付できるようにしておくと機会損失を防ぐことができます。
コストはA4カラー両面で4万~+印刷代といったところ。
人員が足らない場合はポスティングもひとつの手です。
ポスティングの単価は1枚当たり3円~5円、配布枚数の下限があったりする(3,000枚からなど)ので要確認です。
自社でチラシを制作する場合の手順
内容のつくり方は動画の台本と一緒で、その商品を購入することによってどんな悩みから解放されるのか、悩みから解放されたらどうなるのかなどをイメージさせることができるストーリーを考えて作成しましょう。
ストーリーを元に、ターゲットごとに、紙のサイズに応じて内容を絞り込んでいきます。
ちゃんと見ないことが多いので、パっと見た時点で「私のことだ!」と思ってもらえるような内容にすること、そして読みやすい内容にすることが大切です。
読みやすいチラシにするために、配色を考えて、整列、近接、反復、コントラストといったデザインの基本を意識して制作する。
こちらについては別記事で詳しく紹介しているので、併せて読んでみて下さいね。
お客さんの行動を促すチラシを作ってみよう【ビルトインコンロ編】
すげぇなあの人
DM
送付できる中身をコントロールできるので情報量への制限が少ないものの開封率は3%ほど。
DMと分からない封筒などに入れている場合は、ポスティングに比べて即ゴミ箱にいくことは少ないですが少々コストが上がります。
よく見る圧着はがきタイプだと、ベネフィットを伝えるデザインにすること、開けてもらうための仕掛けがあると開封率が上がります。
単価は印刷代+発送費で1枚あたり80円~130円くらい。
2,000通を超えると単価が下がることが多いです。
何件か見積もりを取れば安いところもありますよ。
封筒を使うのかなどを指定して見積もると比較しやすいです
ホームページ
掲載できる情報量に制限がないため、個人的にはホームページに力を入れるのが最もコスパがいいと思っています。
ただ、ホームページは育ててあげるか、宣伝してあげないと全く意味がありません。
既にお客さんがいたとしても、何もしなければホームページへの来訪数は顧客数の5%あればいい方だと思って下さい。
あらゆる広告の受け皿になれるので、売りたい商品ごとに特設ページを作って受け皿にするのが大企業では当たり前になりつつあります。
単価はページを追加するなら1ページ2万~、撮影、ページ内のライティングやコンテンツ作成まで頼む場合はさらに追加が必要ですが、作り込んだページは必ず評価されます。
しっかりとした土台があれば、どういった販促施策をしても相乗効果が得られます。
作るべきページは、まず基本的なメニュー(パンフレットやカタログのようなページ)と問い合わせや申し込みの窓口(チャットとかもいいですよね)。
もし、自社の取扱い商品やサービスを網羅していないのであれば、こちらの整備を先に実施しましょう。
キャンペーンページなどはその後でOKです。
自社でホームページを作る場合
ホームページの自作はおすすめしません。
ホームページは365日、24時間ずっと働いてくれる営業マン(ただし新人)のような存在なのでコストをかける甲斐はあります。
制作にかける費用がない場合は、ワードプレスなどの有料テーマ(7,000円~30,000円くらい)を購入して体裁を整えましょう。
自社で実施しないといけないのは、「どういったページを作るのか?」という企画と、コンテンツを増やしていくページ作成と内容の更新です。
企画してページを増やして、内容を更新していくと、新人営業マンがベテランになっていくようにホームページは成長します。
ホームページにとっての栄養は定期的な更新と良質なコンテンツです。
ぜひ力を入れてあげて下さい。
ランディングページ
商品ごとの特設ページ、営業およびクロージングをやって申し込みを獲得してくれるページ。
売るための台本をそのまま1ページにして申し込みフォームをつけたような縦に長ーいページです。
チラシとWeb広告をセットで行うことでチラシはオフラインと潜在層、Web広告はオンラインと顕在層にアプローチできるので費用対効果が高い。
ランディングページの制作費は10万~、構成やライティングをしっかりやる場合は20万~といったところ。
チラシのデザインとWeb広告費を含めて合計30万くらいからが現実的なラインです。
自社でランディングページを作る場合
ランディングページ用のワードプレステーマを購入して色々試すのが最も安くつきます。
テーマは10,000円以内で買えるものが多いので、量産するならホームページ自体をワードプレス化してランディングページ用のカテゴリーを作るとコスパがいいです。
成果が出ない場合は、ターゲット設定、構成、ライティングのどれかに原因があります。
プロに依頼して作ってもらったものを参考にするか、競合他社のランティングページと自分が作ったページを見比べて何が違うのかを学びながら作るのがいいと思います。
ブログ
コンテンツの内容が悪いと徒労に終わりますが、サイトの育成をするならば決して避けてはいけないテーマです。
将来的な見込み客を囲い込むことができるのが最大のメリット。
ホームページで賄えないような内容をテーマにすれば、相互補完できるため集客数を伸ばす助けになります。
コンテンツマーケティング専門のSEOコンサルとかもたくさんいます。
コストはコンサルに頼む場合は月間50万~(3~6カ月くらい)+熱意を持った社内の人間が何人か。
自社でブログを実施する場合の手順
キーワード選定とキーワード選択、質の高いコンテンツを100記事を目指して書く、月ごとにページを見直して改善する。
言葉にするとめっちゃ短いのに、慣れないと明後日の方向に走ってしまったり、成果が出なかったり、記事作成に手間取ると思うので、こちらも別記事で解説します。
当サイトも記事作成で集客していますが、記事を投稿するごとにアクセス数は増えていきます。
テーマが決まってるから勉強せざるを得ない
Web広告
需要が顕在化したユーザーを集客できるのがメリット。
人気のあるキーワードは競争が激しい=広告単価が高くて割に合わない場合があるのと、広告をやめると集客できなくなる、類似商品と比較されるのがデメリット。
自社でWeb広告を実施する場合の手順
新規顧客全体のリピート率と解約率を算出して、新規顧客1件を獲得すると合計でいくらの売上と粗利になるのかを計算。
新規顧客1件あたりの粗利の数字を元に獲得にかけられる費用を決める。
キーワードを選定。
広告文とバナーを作成。
ランディングページを設定して広告を出稿。
クリック率、成約率を分析して反応の良い広告文、バナーを改善、コスパのいいキーワードに絞り込んでいくというのを繰り返す。
通年売れるようなものなら単価は落ち着いてます
SNS広告
Facebook、Twitter、Instagram、Tiktokなど様々なSNSがあります。
独自の技術で広告を出す対象を絞ることができてWeb広告に比べれば単価も安めなのでアクセス数を底上げしたい時はSNS広告の方がいいと思います。
今すぐ客ではなくてそのうち客を集客するので売上という面で見ると費用対効果は悪いかもしれません。
広告はここまで。
これからは自社でやっている、あるいはできる営業手法です。
対面営業
アポなしの場合は時間を取ってもらえない可能性が高く、聞く気になっていないのでお悩みを聞き出して次回のアポ取りに注力する方が良いです。
話した内容は覚えておくか、車に戻った時にメモしてお土産(お悩みを解決できそうなもの)にできそうなものがあれば1週間以内にポスティングか郵送で資料を送って電話でフォローする。
顔を合わせる(単純接触)頻度が高ければ高いほど仲良くなれる可能性は高くなるので、近くに行った時は何もなさそうでも「何かお困りごとはありませんか?」と聞いておくと次に繋がる可能性が生まれます。
ウチはフェイスシールドしてます
電話営業
興味の高低を測ること、繋がりやすい時間帯を聞き出すことを目標にしましょう。
- 感じよく、テンションを大分上げた状態で話すこと
- 30秒程度で要件を伝えることができるようなトークを用意しておくこと
- アポなしの場合は迷惑電話みたいなものと考えておくこと
といったことが心得ですね。
アポあり電話の場合でも「〇分くらいいただきますね」とあらかじめ了承を取っておくと真剣に聞いてくれることが多いです。
FAX営業
関係がありそうな対象へFAXを送る広告手法。
送った後に「どうでした?」と電話で反応を引き出すのがセットです。
「遅らせてもらっていいですか?」と尋ねてから送っているものの「勝手に送ってきやがって!」「トナー代を返せ!」といったクレームをいただくこともあります。
メンタルが強い人じゃないとあんまり向いてないです。
メール(問い合わせフォーム)営業
BtoB向けで問い合わせフォームに決めた内容を送り続ける数打ちゃ当たる戦法。
こちらはメールを送って反応があれば良し、電話でフォローすると引き合いが取れる率が上がります。
以前実施した時は800件送ってメールの返事があったのは10件(お断り3件含む)なので1.25%
電話でフォローすると40件(5%)と打ち合わせができたので、フォロー込みなら新規開拓にはいいかもしれません。
テンプレートを用意しておいて、ひたすらコピペして送信です。
提示できるメリットがあれば割とイケます
セミナー営業
無料セミナーに登壇して興味を持った来場者と商談することがゴールです。
講演料を取らないのであれば機会は見つかりやすいので専門分野があるならば割といい開拓先だと思います。
人が集められないと悲しい事になるので、商工会議所や業界団体などの集客力のある所がいいですが、良いプレゼンができないと逆効果なので準備と練習が必要です。
展示会への出展営業
こちらはお金を払って名刺を集める営業手法です。
出展する場所にもよりますが場所代で1ブースあたり20万~50万/1日に加えてイベント用のパネルや資料が必要です。
集客用のコンパニオンや記念品などもあると経費は嵩みますが集まる名刺は増えます。
名刺を集めるだけでフォローしていない企業がほとんどなので、すごく勿体ない。
メルマガ登録させてもらいますねーくらいやってもいいと思うんですけどね…。
まとめ
様々な広告手法と営業手法について紹介させていただきました。
やったことがない広告手法、やってみたいけどやってない広告手法、やったことがあるけど効果がなかった広告手法など様々な感想をお持ちかと思います。
業態や会社の性格によって合う合わないはありますが、チラシとホームページはどういった業態でも使える手法だと思います。
もし、チラシやホームページで成果が出ていないのであれば、正しいやり方を知らないだけです。
「誰でも大ヒットを飛ばすことができるか?」と聞かれるとそんなことはありませんが、アスリートやアーティストのように特別な才能は必要ありません。
ポイントを押さえて正しいやり方をすれば、努力に見合った成果は必ず得られます。
押さえるポイントはアクションを促すこと。
アクションを促すコツは、ターゲットを定めてベネフィットを伝えることです。
下記記事で詳しく紹介しているので、併せて読んでみて下さい。
ベネフィットとメリットの違いとは?違いを知って営業や広告に活かそう
最後までお読みいただきありがとうございました。