USPとはUnique Selling Proposition(ユニークセリングプロポジション)の略で直訳すると「固有の販売命題」です。
なんだかよく分からない感じがしますが、「独自の強み」と言われたり「独自の売り方」と思っていればOKです。
調べてみると1940年に生まれて2020年でも未だに使える考え方なので、人間の心理ってあんまり変わってないんだなーと思います。
この考え方が身に付くと、どういった時期でも、どういった環境でも売れるようになりますよ。
まずは身近な例から見ていきましょう。
記事のもくじ
USPを使った身近な例
他にもたくさんありますが、私たちの身近にUSPを使った売り方はたくさんあります。
- 土用の丑の日にうなぎを食べる
- 30分以内にピザを届けます
- 送料無料で最短翌日に届けます
体験したり思い当たった企業があったのではないでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
土用の丑の日にうなぎを食べる
土用の丑の日は7/19~8/7の間のどれか、つまり夏です。
一方、うなぎの旬は冬です。
つまり一年で最も美味しくない時期(冷凍なら別ですが)にうなぎを食べるという習慣ができています。
不思議に思ったことはありませんか?
この習慣は「うなぎが売れなくて困っている」という相談を受けた平賀源内が江戸時代に始めたプロモーションです。
うなぎの「スタミナがつく」という特長を夏バテに困っている人へアピールすることで大ヒットに繋がったことが始まりです。
相談した店主は「うなぎの旬は夏だしねー」と思っていたんでしょうね。
30分以内にピザを届けます
ピザーラ、ピザハット、ドミノピザ、ファーマーズなど、日本には様々な宅配ピザがありますよね。
特にお気に入りのお店がある方は眉をひそめるかもしれませんが、あえて伺います。
「特別な美味しさですか?」
美味しいよと思った方にさらに伺いますが、
「イタリア料理店のピザと比べてどうですか?」
「比べるジャンルが違うやん」って思いませんでした?
そうなんです。
同じ商品を売っているとしても売り方を変える(この場合は配達する)ことで比べるもんじゃない、つまり違うカテゴリーになれることがUSPの力なんです。
宅配ピザは宅配料金が商品代に乗っかっているので、イタリア料理店に比べれば割高ですし、味も少し落ちると思います。
ただ、「お腹が空いてすぐに食べたい」「外に出るのが面倒」といったお客さんの要望に応えることで、宅配ピザは大きくなりました。
最近はコロナの影響でおうち時間が増えたりテレワークをしている企業もあることから、宅配サービスはにぎわっています。
ウーバーイーツや出前館などのデリバリーもありますが、やっぱり少し高いですよね。
〇円以上という縛りがあるものの、宅配料を取らずに出前をしている店舗ってすごいと思います。
日本はピザーラが最初らしいよ
僕はピザハットが好き
送料無料で最短翌日に届けます
アスクルやアマゾンですね。
販売しているものは前者はオフィス用品、後者はなんでもですが八百屋とスーパーの違いくらいですかね。
業態はすごく似ています。
安いか?と言われると首をかしげたくなりますが、豊富であること、店舗に行かなくてよいこと、すぐに手に入ることといったメリットの前では、少々高いデメリットなんてどこかにいってしまいます。
もちろん、店舗で比べながら選ぶのはすごく好きですし楽しいですよ。
ただ、買うものが決まっている必需品がなくなったらすぐに欲しいですよね。
行ってみたら店舗に在庫がなくて手に入らなかった…といったリスクを考えるとネットで買ってしまいます。
使ってない健康器具が家にある
御社の強みはなんですか?
「御社」が「その商品」、「そのサービス」に代わることはありますが、営業を改善するにしても広告やホームページなどの制作を始める上で必ずしている質問です。
あなたが外部パートナーに依頼した時にも必ず聞かれる質問だと思っておいて下さい。
ただ、この質問をした時に返ってくるのは、
よくあるご意見
「ウチは普通のものしか売ってないから特別ってわけじゃないよ」
「強みって言われてもね…他にもすごいとことろがたくさんあるし」
「そこを見つけてくれない?」
そんなわけがありません。
内容を掘り下げてみると、出るわ出るわ…
専門性の高いお仕事だったり、職人系は特に色々出てきます。
他はよく見えるのに、いざ自社のことになると見えなくなってしまうんでしょうね。
立ち上げて〇ヶ月とかならまだしも、商売が成り立っているならば必ずUSPがあります。
ボクがやると1時間かかる作業を20分くらいで終わらせるのに、「俺はまだまだ」って言ってるもんね!
USPを見つける方法
USPはあくまで売り方を見つけるための方法なので、現状の立ち位置と売り方(慣習)を元に組み立てます。
ポイント
業界という地図の中で、その商品がどういった存在(立場)なのか?
業界の「当たり前」の売り方と自社の売り方はどういったものか?
という二点を洗い出しましょう。
業界が大きい場合は全部書き出していたらキリがないので、自社の商品とお客さんが被っている商品との関係性を業界と捉えてまとめていきましょう。
客観的な情報(価格、機能、イメージ、売れてる対象、おまけ、販売方法、販促方法)を書き出して分析します。
勝っている部分、負けている部分、競合が取り組んでいるのに自社がやっていないこと、あるいは自社が取り組んでいるのに競合が取り組んでいないことなど色々なことが見えてきます。
「当たり前」に捉われず、主観を交えずに客観的な情報を淡々とまとめていきましょう。
「へー」「ほー」「はー」みたいな感じ
分析する
客観的な情報が出揃ったら、なんで売れているのかを分析しましょう。
唯一無二の商品なんて独占していたり特許を持っていない限りそうそうありません。
あなたのビジネスが成り立っているのは、競合に比べて勝っている部分があるからです。
競合商品にはないけど自社商品にはこの機能がある、競合はネット販売していないけど自社はネット販売をしているなどお客さんにとってあなたの商品を選んでいる「決め手」があるはずです。
この「決め手」の部分がお客さんにとってのベネフィットであり、あなたの会社やあなたの商品のUSPです。
どこを伸ばしてどこを補うのかを決める
自社の強み(競合の弱み)が分かるということは、競合の強み(自社の弱み)についても分かることになります。
自社の弱みを補うためにかかる人的、金銭的なコストと強みを伸ばすためにかかる人的、金銭的なコストを出します。
手軽に始められそうなのであれば、少しずつ試してみるのもいいかもしれません。
もし、自社の弱みを補うのが難しいのであれば、宅配ピザのように畑違いの業種から学んで組み合わせるのもひとつの手です。
業界や自社の「当たり前」に捉われずにターゲットに合わせて考えればいい方法が見つかります。
オーナーさんの後継者対策でもやろうかな?
USPを見つけるコツ
素人感覚を大事にすることが最も大切なことです。
情報をまとめる時も、情報を分析する時も、業界の「当たり前」に捉われると見過ごしてしまいます。
専門家になればなるほど上を知っているせいか謙虚になって「こんなこと大したことがない」と言う傾向がありますが、素人にとってはそんなことありません。
競合や業界についての情報をベテランがまとめて、自社商品の情報をまとめたり分析するのは新人や家族にやってもらう方がいい結果が出ると思います。
USPを使って販促に活かす
USPが分かれば営業にも販促にも活かすことができます。
お客さんの「決め手」になっているのは、お客さんにとっての「ベネフィット」なのですから、この部分を中心に打ち出していくのが最も効率がよいやり方になります。
ベネフィットについてやベネフィットを活かした販促のやり方については下記記事をどうぞ
ベネフィットとメリットの違いとは?違いを知って営業や広告に活かそう
お客さんの行動を促すチラシを作ってみよう【ビルトインコンロ編】