新電力を販売する際にお客さんから寄せられる質問や、よくある聞かれることに対して答えられなくて困ったことはありませんか?
答えられなければ契約は流れますし、あなたへの信頼感も損なってしまう可能性があります。
契約を取るために、またあなたが提案する商材がいいものであることを示すためにも、お客さんが抱いている不安を払拭しましょう。
この記事を読めば
- 新電力に対して詳しくなる
- お客さんが抱いている不安に応えることができる
- お客さんからくるであろう断り文句を減らすことができる
ということができるようになります。
順番に見ていきましょう。
記事のもくじ
そもそも新電力とは?
政府に認可された10の大手電力会社以外の電力会社が供給する電力のことです。
電力会社は「発電」、「送配電」、「販売」といった3つの事業で構成されています。
自由化されたのは3つの内の「販売」事業です。
発電や送配電は10の大手電力会社が務めます。
なんで自由化されたの?
10の大手電力会社は政府から地域が割り当てられて、その地域の電力を独占的に販売していました。
消費者が独自に契約する自由がないのは不公正だという点と、様々な企業が参入することで競争が起こり、効率化されるのではないか、という目論見でスタートしました。
電力小売自由化の歴史
LPガス会社が知っておきたい新電力販売のメリットとデメリットで「2016年に電力自由化!」と書きましたが、正確には「完全自由化」が正しいですね。
大規模工場などが使っている特別高圧や、中小ビルなどが使っている高圧などは、10年以上前から自由化が始まっていました。
実施時期 | 実施内容 | 実施対象 | 供給方法 |
2000年3月 | 電力小売自由化スタート | 大規模工場やデパート・オフィスビル | 特別高圧 |
2004年4月・2005年4月 | 自由化領域拡大 | 中小ビルや中小規模工場 | 高圧 |
2016年4月 | 全面自由化 | 家庭や商店 | 低圧 |
段階的に自由化されていって、2016年4月の小売自由化によって一般家庭や商店などへの電力販売も自由化されたことによって、LPガス会社にとっても取り扱いができるようになったんですね。
供給方法の特別高圧、高圧、低圧については下記記事で解説しているので、こちらの記事を参考にしてください。
LPガス会社が知ってておきたい新電力!低圧・高圧・特別高圧の違い
新電力会社にも発電している会社はあるんじゃないの?
発電も10の大手電力会社が務めますと書きましたが、太陽光発電や石油元売りで火力発電所を持っている新電力会社などもありますね。
自由化されるまでは発電した電力を10の大手電力会社や特別高圧、高圧を利用している事業者へ売っていました。
新電力会社の参入が多いのは、2009年から始まった太陽光発電の固定額での買取期間(2019年11月が最短)が切れるということも背景にあるのでしょう。
2009年48円/kwで売れてた単価が固定が切れると8円~11円/kwくらいなります。
託送費用を払ってでも自社で販売した方が得ですよね。
はてな
託送費用:新電力会社が大手電力会社に電気を運んでもらうために払う費用のこと。
独立しないといけなくなった送配電部門
電気を送って配る送配電部門は、今まで通り10の大手電力会社が行います。
送配電についての”えこひいき”を起こさないように独立して、発電事業と小売事業が禁止になりました。
子会社として同じグループでやってるんですけどね。
関西電力さんも2020年の4月に関西電力送配電株式会社というそのまんまな名前の専門子会社を設立しています。
新電力会社は、送って配ってもらう託送費用を送配電会社に払って消費者へ届けます。
ここまでが新電力の自由化の流れと新電力会社と10の大手電力会社の関係性です。
お客さんからのよくある質問
ここからは新電力販売にまつわるお客さんが抱く不安や悩みについてを紹介していきます。
「分からんからええわ」「面倒そうやからええわ」という断りがメジャーですが、判断材料が揃ってないから「分からん」になりますし、堅苦しい感じで説明するから「面倒そう」になるんです。
手続き自体は5分もいりません。
知識とイメージがしっかりしていれば契約獲得率は大きく上がりますよ。
Q:新電力に切り替えたら停電したりしない?
A:しません。
もし、消費者の使用電力が大きくはね上がって新電力会社の発電量を超えた場合は、地域の大手電力会社が供給します。
災害などで地域がまとめて停電した場合は、もちろん停電します。
そのため、新電力会社に切り替えたことが原因で停電してしまうなどのことはありません。
新電力に切り替えたことがデメリットになるわけではないので安心です。
Q:電気の質が下がったりしない?
A:しません。
送配電は地域の電力会社が実施します。
そのため、今までと同様の品質での送配電を実施できる規格になっています。
様々なところで発電された電気をブレンドしつつ、同様の品質の電気が届きます。
Q:なんで安くなるの?
A:新電力は販売が主になるので、電灯や送電線など送配電についての設備投資をしないでいいから安くなります。
こちらは携帯電話で格安SIMと呼ばれる通信会社が既存の大手(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)などの通信網を使っているのと似ています。
メンテナンスにお金はかかるかもしれませんが、設備投資の回収が終わったのに料金が下がらなかったのは大手電力会社が独占していたからなんでしょうね。
自由化されたのは消費者にとって良いことです。
Q:どれくらい得になるの?
A:地域の電力会社に比べて一人暮らしで年間1,500円くらい、四人暮らしだと8,000円くらいが平均です。
新電力会社によっては電気料金自体が安くなる、セット割引がある、キャンペーンのプレゼントがあるといった3点があるので、お得になりますと伝えましょう。
注意ポイント
あくまで「地域の電力会社」に比べて安くなる可能性が高いだけです。
お客さんが新電力会社と契約している場合は、自社に切り替えると高くなる可能性もあるためお客さんが契約している電力会社を確認してから伝えましょう。
電気料金
電気料金は
- 使っても使わなくてもかかる基本料金
- 使った分だけかかる従量料金
- 発電の原料価格で上下する燃料調整費
- 太陽光や水力、風力などの自然エネルギーを促進するための再生エネルギーをみんなで負担しようという再エネ賦課金(ふかきん)
から構成されています。
新電力で安くなるのは1.基本料金と2.従量料金です。
3.燃料調整費と4.再エネ賦課金は10の大手電力会社と同じ料金が適用されます。
セット割引
こちらは新電力の本業に関わるメリットがあるというものです。
石油元売り、通信会社、ガス会社、不動産会社などが参入しているので、ガゾリンが安くなったり、キャッシュバックがあったり、ガス料金が安くなったりします。
ライフスタイルによって受けれるメリットが変わるので、料金のように金額では言えませんが料金でのメリットが小さい1人暮らしなどであればセット割引の方がメリットが大きくなる可能性は高いです。
キャンペーン
申し込みで〇円のプレゼント!というものです。
分かりやすいメリットで5,000円プレゼントとかもあるので、こちらも1人暮らしの場合は年間の電気料金の割引額よりもメリットが大きいかもしれません。
選ぶ時勧める時の注意点
会社によっては違約金が設けられていることもあります。
某大手通信会社だと、期間中に解約すると5,000円~の違約金といったところもあったりします。
自分の契約を選ぶ時もそうですが、自社のでんきを勧める時はメリットだけでなくデメリットについてもしっかり把握した上でお客さんには説明しましょう。
切り替えるはめんどくさいんじゃないの?
Webの申込フォームで申し込み手続きの時間は5分くらいです。
申込書に書く場合は10分くらいです。
切替までのタイミングがWebの方がスムーズなので、Webで手続きした方がいいと思います。
申込書の場合は電力会社の担当者が申込書を見ながらデーター打ち込みをするので、手続きまでの期間がWebよりも時間がかかっています。
はてな
申し込みしてから切替までの期間はWebだと一カ月、紙だと二カ月くらいです。
切替タイミングは検針日なので、申し込んだタイミングによっては時間がかかることもあると伝えておきましょう。
切替の時に申し込みに必要な情報は?
申し込みに必要なのは
- お客さんの個人情報
- 供給地点番号または電気メーターに書かれているメーター番号
- 支払いに必要な情報(クレジットカードまたは銀行引き落とし)
5分程度ですし、手伝えばすぐ終わりますよーという形で一緒に手続きしてしまう方がいいです。
はてな
供給地点番号?と疑問に思うかもしれませんが、電気の使用量を示した検針票またはWeb明細を見れば書いてある番号です。
メーター番号は電気メーターを見れば書いてあります。
検針票が見つからない場合やWeb明細を見るためのログイン情報が分からなくて供給地点番号がどうしても分からない場合は、メーター番号+住所+名義人で契約者が特定できるので、切り替えの手続きができるようになります。
引っ越しなどで入居する際に申し込む方法は?
引っ越しなどの場合は検針票がありません。
該当の住所の契約者がいないため、個人情報と何日後に入居するのかを記載すれば申し込みが可能です。
ただ、受付は1週間前くらいにしておかないとNGです。
当日や3日前などであれば大手電力会社に申し込みましょう。
この場合は再点と呼ばれます。
なんでギリギリだとダメなの?
切替であっても新規入居であったとしても、供給地点番号の情報は大手電力会社が持っており、新電力会社は申し込みがあると大手電力会社からの契約切替を行います。
この手続きにかかる時間が約5営業日かかるためです。
切替のタイミングはいつ?
低圧であれば次回検針日が切替のタイミングになります。
高圧の場合は大抵1年契約であるため、契約更新月が切替のタイミングになります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
新電力が始まった理由や歴史はそんなに面白いわけではありませんが、知らない場合よりもお客さんと話す時に厚みが出ます。
得に説明する必要はありませんが、知っている方が何かとプラスに働くと思います。
記事の内容をベースにして、お客さんとの関係性やお客さんのキャラクターによってどう伝えるのがベストかを個々人で考えた上で契約を取っていってください。
また、新電力会社は2020年6月時点で655事業者があり、それぞれのサービスが展開されています。
知らない新電力会社と契約しているお客さんに対しては、「ウチのが絶対得ですよ!」とか根拠のないことを言ってはいけません。
あくまでお客さんのプラスになる提案をすることが目的です。
知らない新電力会社の名前が出てきたら、サービス内容を調べて自社のサービスと比べてから提案していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ボンベワンのとある一日
こちらは本編に関連しつつも内容には直接関係しないエピソードのようなものです。
新聞についている四コママンガ的なものと思っておいて下さい。
前のお話はこちら
会社に戻ってくると、でんきニャンを紹介されてでんきの契約獲得のリーダーに任命されたボンベワン。
新電力の勉強が始まった。
弊社も随時エリアを拡大していく計画です。
こういった流れで新電力が広がってきたんですね。
ガスと似た部分はあるけど、電気の方が競争が激しそうですね。
私たちが主に対応しているのは高圧契約の対応になりますので・・・
電気にも高圧ってあるんですね。
電気には低圧、高圧、特別高圧というのがありまして・・・
ボンベワンの勉強は続く・・・
中圧はないんかな。
似てるようで全然違う気がしてきた・・・。
ボンベワン、ようやく状況を理解し始める。
次の話はこちら