LPガスは高い!と言われて困ったことはありませんか?
インターネットで調べても「LPガスは自由料金だから」「設備費がガス料金に加算されているから」などのネガティブな情報しか出てきません。
確かにLPガス会社の一面ではありますが、それは偏った見方でしかありません。
自社のLPガス料金は高いのか?といった問いに答えるためには、業界全体のことを知っておく必要があります。
イメージに踊らされずにお客さんとお話したいですし、自分が働いている会社に対して誇りを持ちたいですよね。
この記事を読むと
- LPガス会社を客観的に見れる。
- お客さんに「LPガスは高いやん」と突っ込まれた時に困らなくなる。
- 自分の勤めているLPガス会社がボッタくりなのか、いい会社なのかが分かるようになる。
順番に見ていきましょう。
なお、全く知識がない人でも分かるように書いているので、ベテランが読むと物足りないかもしれません。
LPガス会社に入ったばかりのボンベワンがボンベ先輩から仕事の相談をするといったシチュエーションから始まります。
ボンベ株式会社に勤め始めたボンベワン。
研修もそこそこにボンベ先輩と担当地域を回る事になりました。
時間がある程度経って車の中であった会話から始まります。
お客さんにはどうやってお答えしたの?
場合によるってどういうことです?
物販やサービス提供についてはガス会社に頼まない場合もあるから、ガス料金とガス機器のリース料金が中心になる。
まずはガス料金に詳しく説明するね。
記事のもくじ
LPガスの料金メニューは複数ある
LPガス会社は自由料金だから高い!
というイメージが強いようですが、自由料金であるため料金メニューが複数あります。
一般家庭向けでも集合住宅向け、戸建て向け、ファンヒーター料金や床暖房料金などの特定のガス機器を使っている方(たくさん使う方)向け、と様々です。
業務用になると取引先ごとに料金契約を結んでいる場合もあるので、料金の種類が数百種類を超える場合もあります。
また、供給する規模が大きいと自由料金ではなく簡易ガス料金という料金体系になっている場合もあります。
簡易ガス料金の場合は、自由料金ではなく経済産業省の認可料金(=規制料金)となるため、一般料金の単価に比べて大幅に下がります。
2017年4月に自由化されましたが、都市ガスの料金も経済産業省の認可料金(=規制料金)がベースになっています。
自由化されても他企業が参入しにくい一部地域では規制料金がいまだに続いています。
認可料金はどうやって決まっている?
ガスを供給するために必要な全ての必要経費(原料の仕入代金、人件費、輸送費、設備維持費など)に利益を加えた金額が基準になっています。
利益も加えて計算していいのは、「利益を保証するから長期的に安定して供給するように、あんまりボッタくったらダメだよ」というお達しですね。
簡易ガスが都市ガスと異なるのは簡易ガスは団地(一つの区画)ごと、都市ガスは地域ごとといったエリアの大きさの違いです。
簡易ガスは団地ごとであるため、同じ都道府県の中でも違う料金が認可されてる場合もあります。
ガス料金はどうやって決まる?
まずは、ガス料金の決定方法について。
ガス料金は基本料金+従量料金で決まります。
基本料金は使っても使わなくてもかかる金額、従量料金は使った量にガス料金の単価を掛けて計算されます。
※ガス会社によっては使用量によって基本料金が変わるところもありますが、基本的にはこの考え方で大丈夫です。
ガス料金の単価は、原料調整費がプラスマイナスされるので、毎月単価が変わります。
原料調整費のプラスマイナスというのは、原材料であるLNGの仕入れ価格の変動をプラスマイナスするってこと。
LNGは原油価格に連動します。
タイミングが少しずれるのでリアルタイムとはいきませんし、大抵のLPガス会社が直接輸入しているわけではありません。
元売りから仕入れているので、価格が高いのは元売りが原因かもしれません。
LPガス、都市ガスの具体的な料金
では、具体的な料金を見ていきましょう。
まずは全国平均の数字について、こちらは2020年4月の数字。
2020年4月LPガスの全国平均価格
使用量 | 全国平均価格(基本料金+従量単価) |
5㎥ | 4,944 |
10㎥ | 7,904 |
20㎥ | 13,492 |
50㎥ | 28,710 |
出典:一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターの公表値から抜粋(https://oil-info.ieej.or.jp/)
全国平均は基本料金の平均の記載がなかったので正確な従量単価は不明です。
2020年4月LPガスの関西エリア平均価格
都市ガス価格と全国平均だと比較しにくいので、関西エリアのLPガス価格と大阪ガスの料金を比較してみます。
LPガスの関西エリアは近畿産業局管轄の平均価格です。
LPガス関西エリア平均価格
使用量・基本料金 | 平均価格 |
基本料金 | 1,888 |
使用量5㎥ | 4,837 |
使用量10㎥ | 7,674 |
使用量20㎥ | 13,023 |
使用量50㎥ | 27,761 |
出典:一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターの公表値から抜粋(https://oil-info.ieej.or.jp/)
基本料金の平均価格が出ているので平均従量単価も計算しておきましょう。
LPガス関西エリアの平均従量単価
使用量・基本料金 | 平均従量単価 |
基本料金 | 1,888 |
使用量5㎥ | 589.85 |
使用量10㎥ | 578.6 |
使用量20㎥ | 556.75 |
使用量50㎥ | 517.46 |
これで関西エリアのLPガスの従量料金の単価が分かりました。
使用量が多いと単価が下がっていますね。
続いて都市ガス(大阪ガス)のガス料金の計算例。
都市ガスのガス料金例
使用量 | ガス料金 |
使用量10㎥ | 2,409 |
使用量25㎥ | 4,734 |
使用量50㎥ | 8,104 |
使用量100㎥ | 14,573 |
出典:大阪ガス使用量別ガス料金(https://wwwe5.osakagas.co.jp/custserv/ryokinhyo1001.html)
続いて従量単価
2020年6月の都市ガス(大阪ガス)の従量単価
使用量 | 基本料金 | 従量単価 |
0~20㎥ | 759 | 165.09 |
20~50㎥ | 1,364.81 | 134.80 |
50~100㎥ | 1,635.74 | 129.38 |
100~200㎥ | 2,074.72 | 124.99 |
200~350㎥ | 3506.75 | 117.83 |
これで基本料金と従量単価が分かりました。
比較してみましょう。
LPガス、都市ガス料金を比較
それでは、LPガス料金と都市ガス料金を比較してみましょう。
使用量で比較
使用量 | LPガス | 都市ガス |
5㎥ | 4,837 | 1,584 |
10㎥ | 7,674 | 2,,409 |
20㎥ | 13,023 | 4,060 |
50㎥ | 27,761 | 8,104 |
実に3倍の価格差が出ましたw
さすがにボッタくり過ぎじゃね?と思ったかもしれませんが、さすがにそんなことはありません。
LPガスと都市ガスは成分が異なり、LPガスは都市ガスの2.2倍の熱量を持っています。
LPガスで5㎥使用した場合は、都市ガスだと11㎥使用していることになります。
そのため、使用量で比較する場合はLPガスの使用量に2.2倍を掛けた数字で比較すると丁度良い計算になります。
ガスの熱量を加味した状態で比較
LPガスの使用量 | LPガス | 都市ガス |
5㎥ | 4,837 | 2,575 |
10㎥ | 7,674 | 4,330 |
20㎥ | 13,023 | 7,328 |
50㎥ | 27,761 | 15,824 |
※都市ガスの使用量はLPガスの使用量を2.2倍して使用量を計算
近畿地方での都市ガスとLPガスの料金差は1.75~1.88倍となりました。
一般家庭の平均使用量だと、月間で約3,000~4,000円くらいの差が出ることになります。
一般家庭の月間平均使用量は?
平成18年でLPガスの使用量調査が終わってしまったので、最新のデーターはありません。
平成18年時点の4人世帯のLPガスの平均使用量は11.3㎥でした。
ガスは季節の影響を大きく受けます。
冬が寒いと13㎥くらい、暖冬だと9㎥くらいが平均になるので、この年はそこそこ寒かったんでしょうね。
都市ガス(大阪ガス)の一カ月の標準的な使用量は31㎥(5,543円)とのことです。
平均価格の従量単価が自社と比べてどうなのか、そしてボンベワンが回ってるお客さんの地域の料金メニューがどうなっているのかを確認しておけば、この前みたいに愛想笑いすることはないだろうね。
ちなみに、ウチの料金メニューにどんなものがあるかは知っているかい?
いえ、分かりません。
ウチは全国平均や近畿平均より安いし、戸建てのお客さんの料金メニューならはるかに安いよ。
会社に帰ったら調べてみるといい。
金額的にそれほど変わらないのであれば、しっかりとお話できそうですね。
頭が一杯みたいだし、リース料金を加えたトータルコストについての話はまた今度にするか。
ボンベワンの限界がきたので、リース料金についての比較は、こちらの記事で紹介しています。
リース料金を比較!都市ガスよりもLPガス会社の方がおトクな場合がある?
まとめ
いかがだったでしょうか。
- LPガスが高い!かどうかは契約している料金メニューによる。
- 簡易ガスは認可料金なので安い。
- 自社の料金プランを把握してお客さんとお話する。
まずは自社の主要な料金プランを調べて比べてみましょう。
次は全国平均や自社の地域の平均料金と比べて自社が高いのか安いのかを把握しましょう。
安いのであれば切り返しには困りませんし、高い場合は他の切り口を探しましょう。
例えばリース料金、都市ガスに比べればLPガス会社のリース料金は安いことが多いです。
他にもセット割引、修理、リフォーム、電気工事など何か自社の強みがないかを探してお客さんと向き合える状態になることが大切です。
「トータルコストで考えれば都市ガスとほとんど変わりませんよ」といったセールストークができれば、自信を持って取り組めますよね。
良いガスマンライフをお過ごしください。