「ヤバい」という言葉はヤバい。
何がヤバいのかと言うと
- 「ヤバい!」(凄い)
- 「ヤバい」(嬉しい)
- 「ヤバい」(焦る)
- 「ヤバい」(キレそう)
- 「ヤバい…」(悲しい)
- 「ヤバい」(悔しい)
と会話での「喜怒哀楽」や、自分の状況をほとんど伝えることができることがヤバい。
これだけ万能感のある言葉がかつてあったでしょうか。
もはや死語となっている「チョベリバ」「チョベリグ」「ちょーMM」といった意味が分かっていれば何のことを言っているのかが分かる言葉ですらなく、「ヤバい」というたった3文字でコミュニケーションが可能になっている。
記事のもくじ
会話の「ヤバい」が万能なわけ
会話で「ヤバい」が成り立っているのは、「ヤバい」が出てきた時の表情や声のトーンに感情が乗っかっていたり、「ヤバい」が出てくるまでの話の流れから意味を読み取っているからであり、「ヤバい」が出たタイミングの前後から「ヤバい」が何を表しているのか、つまり「ヤバい」のニュアンスが伝わるから万能な言葉になるのです。
文章の「ヤバい」は「ヤバい」
一方、「ヤバい」が文字になると「!」や「…」などの感嘆符で補うことができても、カッコ内がなければ全て同じ「ヤバい」であるため、何を思っているのかを伝えることはできない。
誰が見ても「ヤバい」という3文字があるだけでニュアンスが伝わることはありません。
ニュアンスが伝わるかどうかという点が会話と文章の最も大きな違いと言えます。
文章のニュアンスは対面した会話の1/13しか伝わらない
お客さんや取引先とメールやチャットでやり取りしていてトラブルになったのに、電話をすることで、または会うすることでトラブルが解決できたりするのは、ニュアンスを伝えることができるからです。
「コミュニケーション」という点では一緒ですが、文章でのコミュニケーション < 会話でのコミュニケーション < 対面でのコミュニケーションの順番でニュアンスを伝えやすくなります。
でもご紹介しましたが、私たちは誰かとコミュニケーションする際に、何を話しているのかはあまり重視していません。
何を話しているかといった「言語的な情報」は7%、どういった表情をしているか、どういった話し方をしているのかといった「非言語的な情報」が93%を占めています。
もし、言語的な情報である文章だけでコミュニケーションするのであれば、会話する時の13倍気を付ける必要があるということです。
相手に誤解なく伝えるテクニックを「ライティング」、そして広告に使うテクニックのことを「コピーライティング」と言います。
文章の弱い部分をテクニックで補うことができます。
ライティングを身に付ければ人間関係が上手くいくようになりますし、コピーライティングを身に付ければ、営業成績が上がる、広告で高い成果を生み出すことができるとプライベートでもビジネスでも上手くいくことは請け合いです。
順番に見ていきましょう。
ライティングを身に付ければ人間関係が上手くいく
ライティングはあなたが考えていることを相手へ誤解がないように伝える技術です。
ビジネスにおいてはメールや企画書の作成の際に役立ちますが、誤解がないように伝えることができるためプライベートを含めた人間関係の構築に役立ちます。
営業や広報はもちろん、外部とやり取りする部署で働いている人には特に使える技術ですね。
「チャットで十分」「文章が苦手だから」と避けている方も多いですが、ライティングは才能ではなくて技術です。
国語が苦手であっても、体系化されたノウハウがあり、練習すれば必ず上手になります。
ライティングを身に付けるための3ステップ
良いライティングのつくり方は簡単です。
- 自分の伝えたいことを箇条書きで書き出す
- それぞれをブロックでまとめる
- 過不足がないかを見直して推敲する
実際のメールを元に紹介します。
ホームページをリニューアルしたいということでご相談を受けた時のやり取りの一つです。
不明点の下に回答をお願いしますと依頼して返信されたメールです。
■不明点
(1)全体リニューアルについて
・現サイトはPCサイトとSPサイトを別々に制作していますが、
リニューアル時も同様にPCとSPサイトを別々に制作するのをご希望でしょうか。
レスポンシブデザインによる制作も可能です。→PCとSPは同様の制作を希望します。現行のサイトでは内容変更する際にかなり手間がかかっているとういのが難点でした。
(2)素材について
参考サイトを拝見した限りでは、クオリティを担保するために
現行サイトの画像は一部流用に留めて、撮影が必要になると思います。
写真等を撮影して頂き、ご支給頂くことは可能でしょうか。
カメラマンを手配して撮影することは可能です。→可能です。依頼しているカメラマンがいますので、新たに撮影することも可能です。
(3)公開時期について
リニューアルしたサイトを公開する時期で、
目標とする時期はいつになりますでしょうか。→できるだけ早めに。内容にもよるとは思いますが、年内などは可能でしょうか。
(4)予約システムについて
現状予約はPCサイトであれば、仮ID発行(https://...)から、
インターネット予約(https://...)が可能であるように見受けられます。
リニューアル後は現行のシステムをそのまま使用するお考えでしょうか。
それとも新しくシステムを構築するお考えでしょうか。→予約に関しては、もう少しシンプルにできるようになれればと思っています。
現行の予約システムですと、少し手間がかかるように思います。
例えば名前・生年月日・連絡先のみで予約できる…などでよいのであればそちらの方に変更したいです。(5)ご予算について
サイトのコンテンツ数・ページ数がそれなりに多いため、
デザインのみ改善する最低限のリニューアルでも伺っている
ご予算を上回る可能性が高いです。
デザインのみ・システム構築・カメラマン撮影など、
ご要望に応じて、プロジェクト毎にお見積りさせて頂いておりますので、
先に挙げた不明点へのご回答を元にリニューアルプランを提案させて頂き、
見積りをご検討頂くことは可能でしょうか。→可能です。現行のホームページは、内容が重複していたり、やや煩雑な部分があるので、シンプルにわかりやすいホームページに変更できたらと思っています。
それでコンテンツ数・ページ数を少なくできたらと思っています。
遠方のお客様でお会いすることはなかったのですが、こういったやり取りを数回することで受注することができました。
上記のメールを作成するのに気を付けたのは相手に配慮して、相手の手間を出来る限り省くことです。
概要をまとめてグループにする、できるだけ専門用語は使わずに使う場合は補足情報などで分かりやすくする(相手に?を作らない)といったことを心掛けるだけでもコミュニケーションは円滑になります。
ライティングの訓練をしていると、考え方も論理的になっていくので会話などの対面コミュニケーションにもプラスに働きますよ。
コピーライティングとライティングの違い
ライティングと名前は似ていますが、コピーライティングは主に広告に用いられる技術です。
広告は「メッセージを伝える」といった目的は一緒ですが、イメージ広告とダイレクトレスポンス広告の二種類に分けられ、それぞれに使われている技術は異なります。
イメージ広告は「キャッチコピー」、ダイレクトレスポンス広告は「行動心理学」です。
イメージ広告とダイレクトレスポンス広告
イメージ広告はその名の通り「こういったイメージを持って欲しい」という企業の考えから作られる広告です。
イメージの核となる言葉のことをキャッチコピーあるいはキャッチフレーズと呼びます。
一般の方が「コピー」と聞いて抱くイメージはこちらではないでしょうか。
- 「愛は食卓にある」(キューピー)
- 「i’m lovin’ it」(マクドナルド)
- 「人生は夢だらけ」(かんぽ生命)
企業が大切にしていることや自社のミッションを一言で表すものなので、言葉選びなどのセンス、または経験が大切です。
短い言葉で受け手にイメージを持たせるための技術であるため、素晴らしい反面、汎用性がありません。
ダイレクトレスポンス広告は、当ブログではアクション広告と呼んでおり、お客さんからの直接的な行動を促す広告です。
平たく言うと「申し込んで下さい」「買って下さい」を伝える広告ですね。
ダイレクトレスポンス広告で使っている技術は行動心理学であるため、この技術を身に付ければ広告だけでなく営業でも活かせます。
ダイレクトレスポンス広告に使う技術
行動心理学と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、私たちはすでに知っています。
広告でよく見るフレーズを5つ紹介します。
初回無料!
〇日はおためし期間などもありますね。
「良いことをされたらお返ししたくなる」という心理で、返報性の原理と呼びます。
「目には目を、歯には歯を」という仕返しの逆ですね。
業界売上No1!
リピート率No.1とか満足度97%といった数字を使って安心感を与えるのも同様のテクニックです。
「多数の人間が選んでいるのだから無難かなー」という心理で、バンドワゴン効果と呼ばれます。
テレビでいいって言ってたみたいなのも一緒。
集団意識を使ったものですね。
こだわる人は使ってる!
「ここだけの話ですが…」、「あなただから伝えるんですよ」といった相手の承認欲求をくすぐりながら使うテクニックです。
「多数の人間が選んでいるものは避ける」という心理で、スノップ効果と呼ばれます。
先程のバンドワゴン効果は安心感を求めている人に効果的、スノップ効果は特別感を求めている人に効果的です。
限定〇個!
先着〇個!、今から30分限定!なども同様のテクニックです。
「今買わなければもう二度と手に入らないかもしれない」という心理で、希少性の原理と呼ばれます。
こちらも「ここだけの話ですが…」、「あなただから伝えるんですよ」という特別感を追加しておくと効果的です。
〇〇さんも使っている!
化粧品の広告には芸能人が、健康食品やサプリメントなどの広告では医療関係者などの専門家がよく出てきますよね。
「〇〇さんが使ってるからいいものだろう」「専門家が言っているから効果があるだろう」といった心理で、権威への服従と呼ばれます。
これは「自分の意思が違っても権威者に命令されたら実行するのかどうか」というミルグラム実験、またはアイヒマンテストと呼ばれる検証が元になっています。
ミルグラム実験の元になったケースは第二次世界大戦時の某弾圧がきっかけであることを考えると、とてもマイルドな使い方になっていますね。
行動心理学で調べると他にも色々出てきますが、存在は知ってるけど名前を知らなかった的なことが多いです。
ただ、法則名を知っていると言語化できるようになるため、誰かと共有することが楽になりますし、根拠があることから説得力も上がります。
〇〇タイプにはこの法則が効果的ということを知っておけば、広告をつくるスピードが速くなります。
アイデアはいくらあっても邪魔にはなりません。
そしてアイデアは知識の引き出しからしか生まれません。
ぜひ知識の引き出しを増やしてください。
ダイレクトレスポンス広告の名著3選
入門書を2冊、実務で使える1冊を紹介します。
禁断のセースルコピーライティング
神田昌典さんは日本におけるダイレクトマーケティングの第一人者です。
全くの初心者はもちろん、専業にとっても基本的なテクニックを再確認させてくれる内容なので、入門書としてオススメ。
シュガーマンのマーケティング30の法則
アメリカのダイレクトマーケティングのレジェンド的な存在です。
コピーライティングの目的や、どんなコピーが広告のコピーとして優れているのかについて解説されているので、こちらも入門書としてオススメ。
売れるコピーライティング単語帖
コピーライティングを考えている時にいいフレーズがないなーと思った時に使える単語帖です。
実務で悩んだ時に使えるマーケッターのカンニングペーパーですね。
言葉のアイデアが2,000パターンあるので、あなたが探しているフレーズにぴったりのものも見つかると思います。
まとめ
- 文章のニュアンスは会話の1/13しか伝わらない
- 文章の弱い部分を補うことができるのがライティングとコピーライティング
- ライティングは相手に誤解なく伝えるテクニック
- ライティングのコツは相手に配慮して、相手の手間を出来る限り省くこと
- コピーライティングは広告で使われるテクニック
- 広告にあるのはイメージ広告とダイレクトレスポンス広告
- ダイレクトレスポンス広告に使われる行動心理学とその法則
といったことを見てきました。
ぜひライティングとコピーライティングを身に付けて下さい。
そして、身に付けた技術を使って効果を実感して下さい。
きっとプライベートでもビジネスでもよい結果が待っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。