燃焼計算の根拠となる発熱量や事故を防止するために必要な爆発範囲、間違えやすい体積当たり・質量当たりの発熱量の違いなどを解説。
試験の際は電卓持ち込みOKなので、化学式から計算しても良いですが、発熱量については覚えておいた方が時間の短縮につながります。
記事のもくじ
丸覚えキーワード
- 可燃性ガスの爆発範囲(燃焼範囲)
- 引火点と着火点
- 総発熱量と真発熱量
- 単位体積・単位質量あたりの総発熱量
- 完全燃焼と不完全燃焼
キーワードの解説
可燃性ガスの爆発範囲(燃焼範囲)
可燃性ガスは単体では燃えず、空気と混ざる(酸素とくっつく)事で燃えます。
一定範囲で混合されることで燃えて、それ以上でもそれ以下でも燃えません。
混合比率の左側を爆発下限界、右側が爆発上限界と呼ばれます。
範囲が広ければ広いほど爆発しやすいですが、爆発下限界が低ければ低い程少し漏れただけで爆発する可能性があるので、取扱に注意が必要です。
爆発範囲が広い順番に成型してみました。
ガス名 | 爆発下限 | 爆発上限 | 爆発範囲 |
ブタン | 1.8 | 8.4 | 6.6 |
プロパン | 2.1 | 9.5 | 7.4 |
アチレン | 1.6 | 10.0 | 8.4 |
プロピレン | 2.0 | 11.1 | 9.1 |
エタン | 3.0 | 12.5 | 9.5 |
メタン | 5.0 | 15.0 | 10.0 |
1.3ブタジエン | 2.0 | 12.0 | 10.0 |
エチレン | 2.7 | 36.0 | 33.3 |
一酸化炭素 | 12.5 | 74.0 | 61.5 |
水素 | 4.0 | 75.0 | 71.0 |
アセチレン | 2.5 | 100.0 | 97.5 |
並び変えてもわかるアセチレンのすごさ。
鉄筋の圧接や金属の溶接や溶断、鉄板の切断、鋼材の焼入れに使われているガスです。
プロパンを基準に爆発範囲の広いガス、狭いガスの違いを覚えておきましょう。
引火点と着火点
引火点は勝手に燃える。引火点は火を近づけたら燃える。
それぞれ最低温度が設定されている。
教科書通りの解説だと、
着火点は可燃性物質と空気の混合物を徐々に加熱した時に自然にしかも一様に燃え始める最低の温度。
引火点はガソリンやアルコールなどに火器を近づけた時に引火する最低の温度。
というもの。
総発熱量と真発熱量
ガスが燃える時に発生するのは二酸化炭素と「水」です。
水が気体から液体に戻る際に凝縮熱という熱量が発生します。
総発熱量は凝縮熱を含み、真発熱量は純粋にガスの燃焼で生み出された発熱量のみを換算します。
熱量の比較では、総発熱量>真発熱量となる。
単位体積・単位質量あたりの発熱量
プロパンとブタンの発熱量は、体積あたりは異なり、質量あたりは同じと覚える。
体積当たりはプロパンが99MJ/㎥、ブタンが128MJ/㎥
1kgあたりはプロパン・ブタン共に50MJ/kg
体積と質量がこんがらがっていると、間違うような問題が頻出です。
完全燃焼と不完全燃焼
完全燃焼するした場合、二酸化炭素と水(水蒸気)が発生、不完全燃焼の場合は一酸化炭素、水素、炭素(すす)なども発生します。
完全燃焼するために必要な理想空気量はプロパンが約24倍、ブタンが約31倍。
また、完全燃焼させるためには理想空気に加えて過剰空気が必要。
(空気中の酸素濃度が減るため21%以下になってい ることがほとんどであるため)
プロパン1molが燃焼した際に発生する熱量は2219kJ
プロパン1molは44gなので、プロパンが1kg燃焼した場合は1,000g÷44g×2,219kJ=50,432kJ=50MJという計算ができる。
応用問題
90%volがプロパン、10%volがブタンの混合ガスを完全燃焼させるために必要な理想空気量はいくつか?
燃焼計算は、各化学式(プロパンC3H8、ブタンC4H10)を分解して必要な酸素量を算出
必要な酸素量はプロパン5mol、ブタン6.5mol
※酸素1molはO2、32gで1mol
LPガスはプロパンとブタンの混合気体であることがほとんどであるため、混合比を元に必要酸素のmol数を算出、mol数が出たら0.21で割る。
温度が0℃以外は〇℃+273K/絶対温度を空気量に掛ける(温度が上がると体積が増えるため)
試験前にチェック
- メタン、エタン、プロパン、ブタンの爆発下限界は?
- 体積当たりのプロパン・ブタンの発熱量は?
- 質量あたりのプロパン・ブタンの発熱量は?
- 総発熱量と真発熱量はどちらが大きい?それはなぜ?
- 着火点と引火点の違いは?