「LPガスは高い」と言われています。
実際、ガス価格単体を考えれば、規制料金を基準が基準の都市ガスと自由料金であるLPガスであれば都市ガスの方が安いです。
平均価格から計算すると、月額で3,000~4,000円ほどの差が生まれます。
では、消費者がガス会社に対して払っている金額はガス料金だけでしょうか?
集合住宅の場合であれば警報器くらいかと思いますが、戸建ての場合はガス機器の「リース」をしているケースが結構な割合であります。
そのため、ガス会社にかかるコストは、ガス料金+リース料金(+その他のサービス)です。
もし、ガス料金が安くてもリース料金が高くて月額3,000~4,000円の差が埋まるのであれば、ほとんど変わらないことになります。
この記事を読むと
- リースについて詳しくなれる
- 都市ガスのガス機器のリース料金が分かる
- 自社のリース料金と見比べることでセールスに自信が持てる
- お客さんに突っ込まれた時に相談できるようになる
といったことができるようになります。
この記事は
LPガスは都市ガスに比べて高い!と言われた時はどうすればいい?
の補足でもあるため、もし見てない方はこっちの記事も読んでみて下さいね。
ウチのガス料金プランってめっちゃ差がありますね。
じゃあ、この前話せなかったリースについて説明しようか。
記事のもくじ
ガス機器について
お湯を作る、料理を作る、浴室乾燥や衣類乾燥など、ガス機器には様々なものがあります。
ガス機器の大手メーカーはリンナイ、ノーリツ、パロマの3社。
パロマは業務用がメインなので、家庭用であればリンナイとノーリツが2強になります。
ガス機器のラインナップは幅広く、機能に合わせて値段もピンからキリまであります。
ビルトインタイプの希望小売価格だと80,000円~330,000円くらいと実に4倍くらいの差があります。
もちろん、価格が上がるほど高機能で料理やお手入れが楽になり長持ちしやすいです。
15~25万あたりのスタンダートクラス~ミドルクラスあたりが機能と値段のバランスが良く売れ筋です。
リースのメリットについて
リースはお客さんにとってもガス会社にとってもメリットがあります。
まずはお客さんのメリットから。
初期費用が安い
ガス機器の寿命は10年と言われていますが、実際の買い替えサイクルはビルトインコンロで18年周期になっています。
ガス機器のメーカーさんが良いモノを作っているので、故障も少ないですし、長持ちしているんですよね。
流行に敏感な方や引っ越しやリフォームなど生活に変化がある場合は別ですが、一般の方がガス機器の買い替えを考えるのは「調子が悪くなったから」「壊れたから」といった理由が大半です。
家庭を持って家を建てて、10年を超えてからは騙し騙し使って壊れたのが18年目。
ガス機器は毎日使うもの。
子どもにお金がかかる時期ということもあって、大きな支出は控えたいけど欲しいガス機器はミドルクラス以上・・・。
そういった状況であれば、初期費用が安くて月額支払いのリースは手が伸びやすいんですよね。
ローンと似たようなもんですし。
取り付け費用と修理代が無料になる
お客さんにとっては安心感がありますよね。
ガス機器は契約期間中リース会社の所有になります。
お客さんのためにというよりは自社の資産を修理しているということになるんですけどね。
契約期間が終了した場合はどうなるの?
契約期間を満了すると、再リース、買取り、別の機器で再度リース契約、解約(取り外し)といった4つのパターンになります。
一旦は再リースして期間終了後は別の機器で再度リース契約になるケースが最も多く、解約は引っ越しまたは他社からの購入なのでレアケースですね。
リースの期間は6年、8年、10年の3種類が多く8年のボリュームが大きいです。
ポイント
・リースは初期費用が安い
・リース期間中は取り付け代や修理代が無料になる
以上2点がお客さんにとってのメリットです。
ガス会社にとってのリースのメリット
リースからの利益やリース機器を介してのガスの使用料などがメリットになりますが、最も大きなメリットとしてはお客さんを囲い込めるのが最大のメリット。
次にリース会社を介しているため回収がしやすい点も大きなメリットですね。
お客さんの囲い込みができる
リース契約を結ぶ場合は、自社のガスを使ってなければ契約できないという縛りもあるので、契約期間中は自社のガスから切り替えられる心配が減ります。
顧客にとっては出張費や修理費などを払う心配がないので、調子が悪いけど我慢するなどということが起きにくく、連絡を取ってもらいやすくなる。
点検や修理などの機会があるためお客さんと仲良くなれる可能性が高く、その他のお困りごとを聞ける機会が手に入ります。
追加の案件のきっかけになりますね。
回収がしやすい
平たく言うと間にリース会社が入ることで取りっぱぐれが減るってことです。
リースはガス会社とお客さんが直接契約するのではなく、リース会社とお客さんが契約します。
ガス会社は代理店という感じですね。
もしガス会社が直接契約する場合はレンタルになりますが、全面的に打ち出す会社はほぼなくレンタル期間も代替機が届くまでとかの限られた期間しかやっていません。
ガス機器のリースはガス会社にとってはメリットしかない制度ですよね。
リースのデメリットについて
ガス会社にとってはデメリットはほとんどないので、お客さんにとってのデメリットです。
ガス機器は購入した方が安い
めっちゃストレートですがリースの場合は購入よりも高くなることがほとんどです。
住宅の10年ローンみたいに金利だけを払っているわけではないですし、希望小売価格を超えることはありませんが、一括購入に比べると3割くらいは割高になります。
セールなどを利用するとその差は更に広がる可能性はありますね。
契約期間は6年、8年、10年といった3つのパターンが多いので、月額リース代金に支払期間を掛けて総額を計算するようにしてください。
もしツッコまれたら、「〇年保証だと高くなるでしょ?」と返しておきましょう。
契約解除の違約金が高い
引っ越しなどの環境が変わるやむを得ない事情であっても途中解約の場合は満額で買い取りになることがほとんどです。
満額で買い取る金額は総額になるので、結構な額になります。
持ち家が多いでしょうから、あまりないかもしれませんが。
「コンロの火が点かない」って言われて伺ったら電池切れとか、気軽に連絡くれる印象です。
リース代金ってどんな感じなんですか?
都市ガス大手3社のリース代金を調べてみたから見てごらん。
都市ガス大手3社のガス機器のリース金額について
都市ガス大手は東京ガス、東邦ガス、大阪ガスの3社です。
「大手だから、取扱ガス機器が全部一緒」と思っていたら全然そんなことはありませんでした。
まずは全体的に比較ができるリンナイのビルトインコンロを比較対象にしています。
(大阪ガスはリンナイをRシリーズ、ノーリツ(ハーマン)をHシリーズという名前にしています。)
月額料金の比較
商品名 | 東京ガス (6年) |
東邦ガス (8年) |
大阪ガス (8年) |
デリシア | 4,013 | 2,987 | 3,188 |
リッセ | 2,700 | 1,862 | 2,159 |
マイトーン | 2,170 | 1,433 | 1,711 |
出典:各ガス会社のサービス紹介ページより
月額料金だけで見ると、東京ガスが最も高く東邦ガスが最も安く見えます。
ただ、リース期間が異なるため総額料金で計算すると異なる結果が出てきます。
総額料金の比較
商品名 | 東京ガス | 東邦ガス | 大阪ガス |
デリシア | 288,936 | 286,752 | 306,048 |
リッセ | 194,400 | 178,752 | 207,264 |
マイトーン | 156,240 | 137,568 | 164,256 |
※東京ガスは6年(72カ月)、東邦ガス、大阪ガスは8年(96カ月)で計算。
総額では大阪ガスが最も高く、東邦ガスが最も安いですね。
他のガス機器でも同様の傾向がありました。
給湯器も見てみましょう。
リース料金が「お問合せ下さい」の会社があったので比較を掲載するのではなく、最も安かった東邦ガスのリース代金を参考にしてみましょう。
給湯機のリース料金(24号、期間10年)
商品グレード | 月額リース料金 (総額料金) |
給湯暖房機 | 2,913 (349,560) |
ふろ給湯器 | 2,568 (308,160) |
給湯器 | 1,794 (215,280) |
※東邦ガスのらくらくリースを参考に作成(https://www2.tohogas.co.jp/ns/sagas/eco_jyouzu/)
ちなみに、ウチのリース料金ってどんな感じなんでしょうか?
社長がガス代以外は積極的に還元するって方針だからね。
LPガス会社のリース料金は都市ガスよりも安いことが多い
以前勤めていた会社のリース料金は給湯暖房機で1,000円以上、ビルトインコンロでも最上位機種ならば1,000円程度は安いプランでした。
リース契約をしてくれているお客さん向けのガス料金プランがあるので、ガス料金の差も全国平均ほどありません。
LPガス会社のリース料金についてはオープンにしていない所が多いですが、オープンにしている大手の子会社だと親会社に比べて平均で300円くらい安かったです。
ボンベワンの会社はガスを使ってもらうためにリースは撒き餌と考えて、給湯暖房機を主軸に据えて浴室乾燥、衣類乾燥などのリース料金を安くしています。
営業にとってもリース料金が安いので売りやすく、生き生きと売り込みに行っています。
ガス機器の販売についてもリース料金についても安いため、お客さんの中でボンベ株式会社は安いというイメージができつつあります。
なんで高いのに契約するんですか?
調べてみれば分かりそうなもんなのに。
信頼感がある相手から買う場合は詳しく調べないんだよ。
何を買うかじゃなくて誰から買うかってやつだね。
僕もブランドが欲しいです。
先人には感謝だな。
ブランドがないなら詳しくなってもらえばいい
ブランドは「〇〇なら××!」とお客さん自身が感じることです。
この〇〇になるためには、知名度が高い、規模が大きい、品質が高いなどの条件が必要になりますが、どうしてもお金と時間がかかりますし一貫した行動が求められます。
ブランドがない(少ない)状態で信頼感を高めようと思えば、ガス機器の機能や料金の相場観などのソフト面、ガス会社や担当者の人柄などのハード面についてお客さんに詳しくなってもらう必要があります。
詳しくなってもらうための補助としてホームページでの情報公開、対面営業時のチラシや営業ツールがあると営業が楽になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
- リースについて
- 都市ガスのリース料金は、メーカー希望小売価格並み
- LPガス会社のリース料金は都市ガスよりも安いことが多い
といったことについて説明してきました。
さて、あなたの会社のリース料金はいかがでしょうか。
今回は都市ガスを基準にしましたが、地域のガス会社のリース料金を調査してまとめれば、良い資料になることは間違いありません。
客観的な情報を集めればお客さんからの突っ込みも対応しやすくなります。
全体的・部分的に限らず、提示できるメリットがあるならば上手く使って日々の営業活動に活かしていきましょう。