二種販でも勉強した通り、ガスは高圧・中圧を経て低圧でガス機器に供給されます。
電気にも低圧・高圧・特別高圧という供給方法の違いがあり、それぞれ使用するシーンや提案する対象が異なります。
この記事を読めば、
- 電気の低圧・高圧・特別高圧の違い
- 低圧電気、高圧電気を勧める対象
- 新電力に切り替えるとどのくらいお得になるのか
といったことが分かります。
それでは順番に見ていきましょう。
もしそもそも新電力って何なのさ?と思ったあなたは下記記事をご確認下さい。
新電力とは?新電力販売でよくある質問やお客さんが抱いている不安を知ろう
記事のもくじ
電気の低圧・高圧・特別高圧の違い
ガスの低圧と言えば2.0kPa~3.3kPa、中圧が57kPa~83kPa、高圧が0.73MPaなどのPa(パスカル)ですね。
これに対して、電気の圧力単位はV(ボルト)です。
家庭用はほとんどが100V電源、店舗などだと200V電源であるため、ガスよりも身近な単位かもしれません。
発電所で発電された電力は、(1)超高圧変電所、(2)一次変電所、(3)中間変電所、(4)配電用変電所、(5)変圧器(電柱の上にあるバケツみたいなやつ)といった5つの圧力変更を経て住宅に届きます。
低圧、高圧、特別高圧はどのタイミングで供給されるのか、そして一度にどのくらい電化製品や機械を使うのかによって変わります。
低圧
(5)変圧器を経て供給されます。
契約電力が50kW未満。
kWというのは、キロワットと読み、ボルト(電圧)×アンペア(電流)で計算されます。
一般家庭の場合は100ボルトで供給されるので、100ボルト×一斉に使用する電化製品が必要とする電流(アンペア)という計算ですね。
ガスにあった中圧というものはなく、一気に高圧に飛びます。
高圧
(4)配電用変電所から送られて6,600Vで供給されています。
契約電力が50kW以上。
6,600Vで受電した電圧を施設内に設置されたキュービクルと呼ばれる変電施設で100Vまたは200Vに変圧して使います。
特別高圧
(2)一次変電所から6万6,000Vまたは(3)中間変電所から2万2,000Vで供給されます。
大工場などが使用する供給方式で、こちらも敷地内にある変電施設で変圧して使用します。
特別高圧を利用している需要家は電気関係の専門家がほぼ確実にいるので、巡り会う機会はほとんどないと思います。
そのため、次の勧める対象からは除外します。
ポイント
低圧は一般家庭と店舗、小工場。
高圧は中規模工場やオフィスビル。
特別高圧は大工場。
低圧電気、高圧電気を勧める対象
先程も書いた通り、特別高圧の需要家はにわか知識で勧めることができるような対象ではないので、低圧電気そして高圧電気の需要家を対象に勧めましょう。
もちろん、大工場を持っている会社が顧客にいて業務用でがっちり食い込んでいるならば聞いてみてもいいと思います。
低圧電気を勧める対象
一般家庭や店舗、小さな工場を持っているお客さんですね。
関西電力の場合は一般家庭の場合は従量電灯A、店舗の場合は従量電灯B+動力プランを契約していることが一般的です。
従量電灯Aを使っている人の電気代
私たちが契約しているようなプランで月間の電気代は4,000円(1人暮らし)~20,000円(4人暮らし)くらい。
従量電灯Bを使っている店舗や工場の電気代
契約アンペアで基本料金が変わるプランです。
月間の電気代は30,000~10,0000円くらいが多かったです。
動力プラン
業務用冷蔵庫や、サーバー室のエアコンなどの24時間点けておかないといけないような電化製品に必要な電力を個別に契約しておくプランです。
飲食店などであればほぼ100%、従量電灯Bと一緒に契約しています。
店舗や小工場だと一気に2契約(従量電灯+動力)取れる上、電気代も一般家庭に比べて多いので、もらえる手数料も増えます。
量より質となってきたら店舗や小工場を中心に勧めた方が会社にとってのメリットは大きいでしょう。
もちろん、従量電灯プランであれば割安に提供できることが多いのでお客さんの得になるのであれば、という前提にはなります。
ポイント
低圧は従量電灯A、従量電灯B、動力の3つ。
従量電灯Aは一般家庭。
従量電灯Bは電気をたくさん使う家庭や店舗、小工場。
動力プランは主に店舗や小工場で使われているプラン。
高圧電気を勧める対象
屋上や会社または工場の敷地内に「変電設備」と記載された金属製の箱があるなら高圧電気を契約しています。
マンションの敷地内の場合は、管理会社またはマンションの管理組合などを攻める形になります。
高圧は2004年から自由化されているので切り替えているお客さんもちらほらいた感じですが、「調べたことがなかった」という方のほうが多かったですね。
必要なのは業態のヒアリングと直近12ヶ月分の利用明細書です。
ポイント
「変電設備」はキュービクルと呼ばれる設備。
調べたことがなかったお客さんも珍しくないので話を持ち掛けてみよう。
新電力に切り替えるとどのくらいお得になるのか
使い方によるのですが、まずは一般的な実績から見ていきましょう。
低圧は関西電力従量電灯Aを契約している場合、高圧も関西電力と契約している場合の平均です。
ここで紹介するのは電気代がどのくらい安くなるか。
セット割引やキャンペーンでもらえるインセンティブは含みません。
低圧電気を切り替えた場合
1人暮らしだと年間で1,500円くらい、4人暮らしだと年間で7,000円くらい。
動力は
動力プランはほとんど安くなりません。
大手電力会社とほとんど変わらないとお答えしましょう。
高圧電気を切り替えた場合
こちらは結構幅があり、年間10万円~100万円くらい。
使っている金額も違いますが、低圧とは桁が変わりますね。
セット割でお得になる
高圧にキャンペーンなどはないので低圧のみの対応になりますが、自社サービスの恩恵(セット割など)があったり、キャンペーンの特典(基本料金2ヶ月無料など)があったりするので、トータルでお得になる可能性があります。
どういう人がお得になるの?
低圧の場合と高圧の場合でそれぞれ基準が変わります。
キーワードは低圧は「使用量」、高圧の場合は「メリハリ」です。
低圧契約でお得になる人の傾向
ガスの基本料金と異なり、電気の基本料金は15kWhまでが定額でそれ以上の使用は全て従量料金が影響してきます。
新電力は関西電力に比べて従量料金の単価が安くなるので、純粋に「年間の利用料金が高い人」の割引額が高くなります。
一般的に冬季の電気料金が最も高くなる傾向があります。
高圧契約でお得になる人の傾向
高圧は直近12ヶ月の中で最も電気を使った月(これをデマンド(需要電力量)といいます。)を基準に基本料金が計算されています。
大して使っていない月であったとしても、最も高い基準の基本料金を支払っているので年間の電気料金も高くなります。
そのため、得になるのは「年間の電気使用量にメリハリがある会社」となります。
メリットが出にくいのは、24時間営業をしている会社や繁忙期が特にない安定した会社です。
一般的に夏季のデマンドが最も大きくなる傾向があります。
新電力会社のプランによりますが、メリットが出る目安となる金額は月額18万以上でした。
キュービクルがある会社のお客さんとの世間話の中で聞けるようであれば聞いてみましょう。
削減できる金額も大きいので、もの凄く喜んでくれますよ。
ポイント
高圧は少し複雑かもしれませんが、覚える価値は十分にあります。
高圧契約を切り替えて年間60万削減できたお客さんがいたのですが、削減以前に比べて対応がもの凄くよくなりました。
手続きの方法と期間は?
低圧の場合は紙の申込書かWeb申し込み、高圧の場合は見積もり、申込書、契約書の順番で全て紙でやります。
切替に必要な期間は低圧は1~2ヶ月、高圧は最短でも2ヶ月程度はかかります。
切替タイミングは低圧は手続き完了後の検診日、高圧は契約の更新月によるので最悪1年待つ場合もあります。
違約金の存在に注意する
低圧はセット割の契約約款などに〇年以内の解約は違約金がかかりますといった規定があるので注意してください。
高圧は契約期間内の解約にはほぼ違約金が発生します。
切替手続きも申込書にハンコをついてからだと違約金がかかることもあるので、この部分についてはしっかり説明しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
声を掛けるのが無差別でなければ、お客さんにとって得になる可能性の高い提案であるため、喜んでもらえることが多いです。
知識をしっかりつけて、事前の情報収集をした上で、適切な対象へ勧めれば契約件数は必ず伸びます。
契約件数が伸びれば、会社や上司からの評価も上がりますし、何より自分の自信につながります。
もし、契約に繋がらなかったとしてもお客さんに「頼りになる」「電気に詳しい」「いい提案をしてくれた」と思ってもらえれば、今後の提案についても前向きに聞いてくれる可能性が高くなります。
また、扱える商材の幅が広がることから自分自身のスキルアップにもつながりますし、営業成績も上向いてくることでしょう。
今後につながる下地づくりをしていると思って前向きに取り組みましょう。
現在使っているチラシや販促施策で思ったような結果が出ていない場合や、現場のオペレーションでなんとなく歯車がかみ合っていないような気がする場合、その他何かお困りごとがあればお問合せフォームからお気軽にご相談下さい。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ボンベワンのとある一日
こちらは本編に関連しつつも内容には直接関係しないエピソードのようなものです。
新聞についている四コママンガ的なものと思っておいて下さい。
前の話はこちら
新電力の担当者になり、歴史や手続きの方法を聞かされたところでようやく違いに気づき始めたボンベワン。
でんきニャンからの講義はつづく。
メインで獲得していただきたいのは低圧契約、もしつながりのあるお客様がいらっしゃるのであれば高圧契約の獲得についてもお願いします。
分かりました。
(キュービクルってウチの敷地内にもあったような気がするけど意識したことがなかったな。今度から意識してみるか。)
ボンベ社長も若手のホープだと褒めていらっしゃいました。
まだまだ未熟者ですのでおだてないで下さい。
知識としてはそこそこついた気はするんですが、実際何から手を付ければいいのかが分からないんです。
他の代理店さんはどうやって獲得しているのでしょうか?
それは準備、教育、実行のサイクルが回っているということです。
具体的には・・・
知識がついてようやく売るイメージが固まってきたボンベワン。
自分が会えるお客さんでは限りがあるし、ひとりで売るには限界がある。
どうすれば上手く契約件数を伸ばせるのかを考え始めました。
頑張れボンベワン。
次の話はこちら