「何かお困りごとはありませんか?」というフレーズは、潜在的なお悩みを浮かび上がらせる(顕在化させる)きっかけになります。
世の中にある広告は「何かお困りごとはありませんか?」の「何か」を言い換えることから始まることが多いです。
今回は実例を出しながら、どうすればお悩みを引き出せる(顕在化させる)のか、そしてどうすれば成約率が上がるのかをテーマに書いていきます。
この記事を読むと
- 世の中にある広告の種類が分かり自社に有効な広告手法
- 潜在的なお悩みを顕在化させる方法
- 売るための鉄板法則
- 自社の営業や広告に活かす具体的な方法
が分かります。
順番に見ていきましょう。
さて、世の中にある広告は「何かお困りごとはありませんか?」の「何か」を言い換えることから始まることが多いと書きました。
「そんなことなくね?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その際にイメージしたのは、
例
Geogia「世界は誰かの仕事でできている」
Boss「このろくでもない素晴らしい世界」
Fire「I need Fireー」
といったコピーが有名な缶コーヒーCMをイメージしたのではないでしょうか。
私も大好きなCMです。
こういったCMはイメージ広告と呼ばれます。
一方、イメージ広告の対極にあるのがアクション広告と呼ばれるものです。
記事のもくじ
イメージ広告とアクション広告
イメージ広告は主に認知度の向上や維持を目的とした広告です。
アクション広告は具体的な行動を促すことが目的とした広告です。
例を出した方が分かりやすいので、関西電力さんがしているCMを例として見てみましょう。
関西電力さんのイメージ広告の例:「電気をつくる」
かっこいいですよね。
イメージ広告は「お客さんにこういったイメージを持って欲しい。=ウチはこういったスタンスで運営しています。」といった自社のメッセージやミッションを打ち出します。
直接的な収益を意図したものではありません。
「〇〇と言えば××」といったイメージを無意識に刷り込んでいく広告です。
企業のブランド(消費者からのイメージが固まる)が育つ、会社の方針に共感した人材が集まりやすい、従業員や従業員の家族のテンションが上がるなど。
消費者にとっては、〇〇がある生活を思い浮かべた時に自社ブランドを思い出してもらうきっかけになりますよね。
缶コーヒーのCMがオフィスや仕事中が舞台になっているのも、自分がそのシチュエーションになった時に自社商品を選んでもらいたいからです。
次はアクション広告について見てみましょう。
関西電力さんのアクション広告の例:「ラクしてトクするキャンペーン」
2019年のM-1チャンピオンになったミルクボーイのネタを使った「なっとくパック」のキャンペーンCMです。
先程のイメージ広告に比べて、より直接的な内容になっていることが分かるかと思います。
「ラクしてトクする」という人間の煩悩を刺激するサービスを提供しているからガスと電気をウチにまとめてね。
手続きもめんどくさくないからやってみて(申し込んでね)、と行動を促しています。
限られた時間の中で伝える
双方とも30秒のCMですが、感じる内容も伝わってくるメッセージも全然違いますよね。
伝えたいメッセージと、伝えることでこういった印象や感情をもって欲しい、こういった行動を取って欲しいといった思いを実現するために出している広告です。
どちらが優れている、劣っているといった話ではありません。
もし、あなたが中小企業に属しているなら「イメージ広告は大企業のもの」と割り切って考えましょう。
中小企業がイメージ広告を避けた方がいいワケ
イメージ広告を避けるのは、費用対効果が悪いからです。
イメージ広告は華やかですし、かっこいいです。
ただ、長期的なスタンスで取り組まなければ効果は出ませんし、バズれば別ですが通常の広告を使って効果を見込めるくらい実施しようと思えば経費が数千万以上かかります。
もし、あなたがチラシやWeb広告の担当になって大切な時間と経費を使ったのに売上が上がらなかったらどうしますか?
会社から見れば、お金と時間をムダにしただけのように評価されるのではないでしょうか。
アクション広告なら経費は数千円~数万円から始めることができますし、短中期で成果が見込めます。
成果が出てくれば広告費の上積みも承認されやすくなります。
中小企業が広告を作る場合はアクション広告、つまりお客さんから申し込んでもらったり購入してもらうなど具体的な行動を促すために作りましょう。
広告は「誰に」「何を」「どのように」「どうやって」伝えるのかというプロセスの中の「どうやって」の手段のひとつです。
そして、「どのように」伝えるかによって効果は大きく変わります。
テレビショッピングにはアクション広告のテクニックが詰まっている
お客さんの行動を促すアクション広告の具体例としては「テレビショッピング」です。
「テレビショッピング?w」
「いやいや、売れんやろ」
「うさん臭い」
と思った方もいるのではないでしょうか。
テレビショッピングは売れますし、現在も売れています。
ジャパネットたかたなどは有名ですが、テレビショッピングを使っている多くの企業は知名度の低い中小企業です。
中小企業が成果のない広告を続けるでしょうか?
もしテレビショッピングが売れないならば、テレビショッピングをする企業はいなくなってしまうことになります。
成果が出ているから今日もテレビショッピングは流れているんです。
でも、いつ見ても同じような内容だと思いませんか?
私の記憶している限り、20年以上番組の変わっていません。
商品を交換すれば、どんな商品でもそのまま使えそうな内容です。
番組の制作側が手を抜いているから変わっていないのではありません。
売るための鉄板法則を押さえていて変える必要がないため変わっていないんです。
売るための鉄板法則
テレビショッピングは広告のひとつの方法です。
ただ、売るための法則なので営業にも広告にも使えます。
よくあるテレビショッピングの内容を見ていきましょう。
"ネムレール"のテレビショッピング
眠りが浅くて疲れが取れない…
日中に眠たくなる…
こういったことでお困りではありませんか?
素晴らしい眠りが手に入るんです!
ネムレールには10種の生薬を配合。
副交感神経を優位にすることで安眠できるんです。
ボンベ大学〇〇教授から××といったデーターが出ています。
〇〇教授の写真とグラフなどのデーター
このネムレール、通常は3,000円でご提供しているのですが、初回限定で半額の1,500円!1,500円でご提供しています。
0120-●●●-××××にてお電話お待ちしております。
0120-●●●-××××にてお電話お待ちしております。
オペレーター増員中!
0120-●●●-××××にてお電話お待ちしております。
細かい点で色々異なる部分はあっても大筋はこんな感じです。
売るための鉄板法則はお客さんの5ステップと促すための6つの要素から構成されます。
それぞれを見ていきましょう。
売るために必要なお客さんの5ステップと促すための6つの要素
お客さんの5ステップとは、売る側がお客さんに求めている内容です。
- 問題を自分事と捉えてもらう
- 話を聞いてもらう
- 信頼してもらう
- 購入してもらう
- 実感してもらう
といった5ステップです。
5.実感してもらうについてはテレビショッピングの後のことなので1~4までがテレビショッピングの役割ですね。
5つのステップを実現するために必要なのが、
- 問題提起
- 解決策
- 証拠
- 共感
- オファー
- クロージング
といった6つの要素です。
それぞれ見ていきましょう。
1.問題を自分事と捉えてもらう
「何かお困りごとはありませんか?」の「何か」を具体的な言葉にすることで、何となく思っていた不満(潜在的な悩み)を自覚させて話を聞いてもらえる態勢になってもらうことがこのパートでの目的です。
問題提起
夜中に何度も起きてしまう…
眠りが浅くて疲れが取れない…
日中に眠たくなる…
こういったことでお困りではありませんか?
という部分ですね。
お客さんは「自分に関係があるかも!?」と思います。
2.話を聞いてもらう
その商品・サービスを購入することでお客さんが得られる嬉しい結果(素晴らしい眠りが手に入る)を提示します。
結論から話すことで興味を引き付けることが目的です。
解決策の提示
”ネムレール”を飲むとそういったお悩みは解決!
素晴らしい眠りが手に入るんです!
という部分です。
自分事だと思っているお客さんは「なんでそれが実現できるの?」と思います。
3.信頼してもらう
なんでそれが実現できるの?という問いに対しての答え(証拠)を提示します。
実現できる理由(10種の生薬)と信頼してもらいやすいための客観的な判断材料(グラフなどのデーター)や権威(ボンベ大学〇〇教授)を使って、実現できる理由を説明します。
証拠の提示
ネムレールには10種の生薬を配合。
副交感神経を優位にすることで安眠できるんです。
ボンベ大学〇〇教授から××といったデーターが出ています。
〇〇教授の写真とグラフなどのデーター
という部分です。
お客さんは「でも、自分でも効果があるのかな?」「失敗したくないな…」と思います。
この不安を軽くするために、共感してもらえるようなお客様の声を使います。
共感
ネムレールを飲むようになってから、日中に眠くなることがなくなったので、仕事の効率が上がりました。
年のせいか夜に何度も起きてしまって寝た気がしなかったんだけど、ネムレールを飲むようになってからは眠るのが楽しくなってきました。
という部分ですね。
何かを購入する時にクチコミを読んだり、友人からの助言をもらったりしますよね?
自分に近しい存在からのアドバイスを好意的に受け入れる傾向があるため、お客様の声は売りたい対象に近い年齢・性別の方にしてもらうと効果的です。
メリットの提示がされたので、こちらが支払う対価(デメリット)は?と思います。
4.購入してもらう
お客さんが支払う対価を提示して、今行動しないといけない理由を提示します。
オファーは購入するために必要な対価の提示、クロージングはすぐに行動しないといけない理由の提示なので似ているようですが少し違います。
オファー
通常は3,000円でご提供しているのですが、初回限定で半額の1,500円!
0120-●●●-××××にてお電話お待ちしております。
という部分です。
おためし価格で割引、あるいは初回無料などがよくある手段ですが、これは問い合わせのハードルを下げるためです。
クロージング
今から30分以内にお電話頂いた方にはネムレールを小分けにして持ち歩きやすいピルケースをプレゼント!
0120-●●●-××××にてお電話お待ちしております。
という部分です。
クロージングは"限定"や"おまけ"のことです。
本来得られるはずだったものが後からだと得られないと思うと、損失を回避するために行動したくなります。
今回の例だとそんなに魅力的なおまけではないので、ちょっと弱いかもしれませんね。
以上がテレビショッピングの内容の分解です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
- イメージ広告とアクション広告の違い
- 中小企業はアクション広告を使うべき
- テレビショッピングにはテクニックが詰まっている
- 売るための鉄板法則
- 売るために必要なお客さんの5ステップと必要な6つの要素
といった流れで見てきました。
広告は「誰に」「何を」「どのように」「どうやって」伝えるのかというプロセスの中の「どうやって」の手段のひとつです。
そして、「どのように」伝えるかによって効果は大きく変わります。
5つの行動は営業においても、広告においても同様の流れですよね?
5つの行動を促すために、6つの要素(問題提起、解決策、証拠、共感、オファー、クロージング)を使う(どのように伝えるか)という考え方は営業にも広告にも活かせます。
単純なケースを題材にしたためスムーズに進んでいますが、本来は1.問題を自分事と捉えてもらうの前段階に「知らない」「興味がない」「興味はある」という層が、5.実感してもらうの後には「解約」「復帰」「リピーター」「ファン」という層があります。
実際の営業活動の中では1.問題を自分事と捉えてもらえるようになるだけでも結構な労力が必要ですよね。
数字が上がっている営業には日々の活動の中で見込み客を抱えていたり、見込み客になる可能性の高いお客さんを多く抱えているという共通点があります。
最終的な数字を目標にするのはもちろん必要なのですが、数字を作るための元になる見込み客の増加や成約率の向上を段階的な目標として設定するとスタッフの底上げにつながります。
段階的な目標を設定するには「3つの条件」を元に考えると楽です。
「3つの条件」については下記記事で詳しく紹介しています。
また、チラシのつくり方をまとめた記事も併せてご確認下さい。
お客さんの行動を促すチラシを作ってみよう【ビルトインコンロ編】
最後までお読みいただきありがとうございました。